Google、AI倫理責任者を連続解雇 テクノロジーが含む“バイアス”について考える

Google、AI倫理責任者を連続解雇

 GoogleのAI倫理チーム共同責任者の一人であったTimnit Gebruが昨年12月に解雇されてから約2ヶ月。テック界ではGoogleの倫理観やマイノリティグループに対する懸念が増大している。論争がまだ収まらないなか、先日Gebruと共にAI倫理チームの共同責任者であったMargaret Mitchellが、自身の解雇をTwitterで発表した。GoogleはMitchellが社内のネットワークから機密情報を取り出したとして、今回の解雇処分に至ったと話している。昨年のGebruの解雇の件から、Google内での従業員の不信感は高まっており、またテック界に存在するマイノリティと倫理に関する課題を照らし出している。

社会とテクノロジー技術のバイアス

 GebruはAI倫理の分野では知られた研究者であり、特に顔認識システムのAIアルゴリズム内に存在する人種バイアスについての論文を数多く発表している。12月の解雇は、Gebruを含む数人の研究員と共同で執筆した論文の撤回拒否が原因とされている。Gebruは論文の中でGoogleなどが利用している自然言語処理分野における機械学習にバイアスが存在すると言及していた。Geruはマネージャーから論文から自身とその他のGoogle研究者の名前を撤回するように要求されたが拒否し、その翌週の水曜日には解雇処分となっていた。これに対してGoogle側は「Gebruが社内の審査手順を踏まずに論文を発表したことからの対処である」と発表している。

Googleから見るテック界の労働環境の現状

 論文の件以外にも、Gebruは何度か社内におけるマイノリティへの差別や幹部における多様性を欠いた現状についても指摘していた。この解雇と同じ時期、一昨年末に労働組合を組織した二人のエンジニアの解雇を受け、Googleは全米労働関係委員会から苦情を受けている。

 今回のMitchellに関しても似たようなケースとなっている。彼女も昨年12月にGebruが執筆した論文に共同研究者として掲載されており、Gebruの解雇に伴い、公にGoogleやGoogle Brainの幹部に対しての批判を発表していた。Mitchellは自身の社内におけるやりとりの中に、Gebruへのハラスメントや差別を証拠づける情報を探していたことから社内メールアカウントが凍結されていた。そしてつい数日前の2月20日に自身のツイッターで “I’m fired”(首になった)と発言している。

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