全交通機関と決済をひとつのアプリで管理する時代 ヨーロッパのスタートアップTrafiに見る「交通の未来」

 現代の都市を見ると、Uberやeスクーターなど、街中に溢れる交通手段のバラエティは、過去に見ない成長と多様化を遂げている。

 日本の従来の都市だけでも電車・バス・タクシー・自転車などが挙げられるし、海外の都市ではUberなどの自動車、スクーター、電動自転車などのシェア利用が盛んである。しかし、同時にこれらのサービスを利用するためには、それぞれのアプリをダウンロードし、アカウントを登録、決済情報から個人情報まで入力しなければいけない。加えて決済はそれぞれのアプリで行われるため、その度にメールや通知を受信する。その労力と不便さに着目したのが今回交通機関サービスとしてヨーロッパの国々から注目を浴びている『Trafi』だ。

都市化する世界の未来と交通網改革

 UNのデータによると、2050年までに世界人口の68%が都市部に居住すると予測されている。各国で都市化が進む中、同時に様々な交通サービスが登場する。ここで一番の課題となるのが、多様化した交通手段間における、スムーズな乗り換え体験だ。MaaSの可能性はこれをひとつのプラットフォーム下で行えることによって、移動プロセスがスムーズになり、都市全体としての渋滞や混乱を防ぎ、より良い移動体験を提供できるところにある。また、利便性の高い交通機関プラットフォームが存在することで公共交通サービスの利用者が増え、自家用車などの利用が減る。これは世界中で問題となっている、二酸化炭素排出による地球温暖化を防止する取り組みにも大きく貢献する。

ひとつのアプリで全ての交通手段管理は可能なのか?

 リトアニア発のスタートアップであるTrafiは、MaaSサービスとして2013年に創設された。首都のビルニュスを簡単に動き回れるようにというアイディアは、すぐに壮大なモビリティサービスへと発展した。Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)とは、テクノロジーを駆使して自家用車以外の交通手段を一つにまとめるサービスのことを指す。現在、Googleマップなどで総合的な経路検索は可能だが、サービス別に決済を行う必要があったり、特定の交通情報にアクセスするのにそれぞれのアプリを利用しなければいけなかったりと、なかなか総合的なユーザー体験を提供することは難しい。

 この総合的な交通手段サービスを提供するにあたって、幾つかのハードルがある。一つは公共交通機関と民間交通手段が協力・提携する必要があるという点だ。つまり、電車やバスなど大きな公共交通機関と、ライドシェアのUberやマイクロモビリティサービスのeスクーターなどの民間サービスの利用プラットフォームを同じ場所に持ってこなければならない。それぞれが持っている既存のアプリやシステムを統合しなければならなかったり、情報をどこまでシェアするかなど、それぞれの組織によって異なる取り決めがあるため難しい。これに加えて交通データのプライバシーや、国や都市によってのデータや交通機関の規制などの違いから、なかなか拡大しにくい領域ともいえる。しかし、同時にこれらのハードルを超えたところには大きな可能性を見出すことができる分野でもある。