『Google Stadia』はクラウドゲームとして成功できるのか 鍵はYouTubeとの連携? 

 この問題はゲーム機を購入する際を考えてもらうと分かりやすいかもしれない。新しいマリオのゲームを遊びたいなら「Nintendo Switch」を購入するといった感じで、目当ての遊びたいソフトがあってそのゲーム機を購入しているはずだ。コロナウイルスの影響もあるが、2020年3月に『あつまれ どうぶつの森』が発売され、爆発的な人気で「Nintendo Switch」が品薄になった。仮に「PlayStation4」や「Xbox One」、スマートフォンで展開され、どのゲーム機でも遊べる環境であればこの現象は起きなかったかもしれない。自社IPの人気はプラットフォームの売り上げを左右する程の力を持っている。そんな自社IPを捨てた『Google Stadia』には、このサービスだからこそ遊びたくなるような理由が消えてしまった。

 しかし『Google Stadia』には強みであるYouTubeとの連携による可能性が残っている。YouTubeのプレイ動画から「今すぐプレイする」ボタンを押せば、動画再生のようにその場でハイエンドPCレベルのゲームが遊べる。これから先この機能が活用されれば人気ゲーム実況者やVTuberなど、インフルエンサーを活用したカジュアルゲーマーの取り込みが期待できる。ゲーム機を持っていなくてもゲーム実況に参加したり、YouTubeの広告からそのままゲームをプレイしたりできるのは、カジュアルゲーマーにとってのハードルを低くし、新規ユーザー取り込みを増幅させるはずだ。しかし、この機能を最大限活かすためには、ゲームソフトを買い切りで購入するよりも、サブスクリプションとして課金する方がサービスとして成り立つだろう。「気軽に始められる」という利点を活用している分、ユーザーは一つのゲームに対して熱しやすく冷めやすい。サブスクリプション化することで、価格の高いゲームソフトを購入することなくゲームを始める事ができ、さらに自分のスタイルに合わなければ途中で辞めることができる。自社IPという選択肢をなくした『Google Stadia』だが、Googleサービスを活かせば、まだまだ改善の余地があるはずだ。

■藤田幸平
主にゲームライターとして活動。普段は趣味でブログをしながらTwitterに生息している。

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