Google「Stadia」は問題山積み? 4K画質は水増し、Chromecast Ultraは発熱でシャットダウン
Googleが先日アメリカでサービスをスタートした『Stadia』。期待されていたゲーム実況連携機能が実装されていない発展途上のものであることは既に報じたが、それ以外にも、スタート直後から早くも今後の発展が危ぶまれるような、多数の課題が明らかになった。
フルHDを4Kに“水増し”
US版Forbesは25日、『Stadia』で配信されている多数のゲームで4K画質が完全には実現されていないことを報じる記事を公開した。同サービスは、クラウドゲームサービスでありながら「4K画質60fps」を実現できることを宣伝文句としていた(下の画像参照)。しかし、配信されているゲームの開発者に取材したところ、実情はやや異なるようなのだ。
例えばFPSゲーム『Destiny 2』を開発するバンジーの開発者によると、同ゲームにおける通信と処理は1080p(フルHD画質に相当)で実行され、その実行結果を4Kにスケールアップしている、とのこと。この回答は、「画質の水増し」とも言われ兼ねない内容だ。またオープンワールド型のクライムアクションゲーム『レッド・デッド・リデンプションII』の画質を調査したところ、同ゲームも1080pあるいは1440p(2K画質に相当)で通信と処理を実行したうえで4Kにスケールアップしている、というのだ。
以上のような画質問題に関してGoogleは声明を発表している。その声明は通信環境が整いさえすれば4K画質で通信と描画ができるのであって、個々のゲームの画質に関しては開発者たちに様々な方法で実現する自由が与えられている、と述べている。「自由」という言葉を使っているものもゲームの画質については開発者たちに実現する責任がある、と言っているに等しいだろう。
ゲームごとに異なる対応
ゲームメディア『PC GAMER』イギリス版も、『Stadia』の“画質問題”を報じた記事を公開しており、その記事ではUbisoftに取材している。Ubisoftが開発したダンスゲーム『Just Dance 2020』の開発者に取材したところ、同ゲームは文字通り4K画質60fpsを実現しているものも、歌の動画部分に関しては4Kではない、との回答が得られた。
また、『Stadia』のテストプレイでも使用された『アサシン クリード オデッセイ』では、4K画質でプレイできる環境があればゲームの画面は4Kでレンダリングされる。しかし、PCや(PS4 Proのような)ハイエンドなゲーム機でプレイしている場合、一貫したフレームレートを維持するために動的解像度というシステムが活用される、とのこと。つまり、フレームレートを維持するために一時的に画質が劣化することがあるのだ。
以上のような『Stadia』画質問題の根本原因は、そもそも4K画質のゲームプレイに必要な通信環境を整えることがまだ難しいことにある。こうした原因は、高速かつ大容量の通信を可能とする5Gが普及することによって解消される。5G普及がゲーム市場に及ぼす影響に関しては、ストリーミングコンテンツ専門ニュースメディア『FierceVideo』が13日に公開した記事で報じられている。
同記事で引用されているアナリストのMichael Inouye氏の声明によると、ゲームストリーミングサービスは2018年から2024年にかけて年平均成長率61.7%で成長し、利益は45億ドル(約4,900億円)に達すると予想されている。しかしながら、こうした成長を後押しする5G普及に関してはまだ時間がかかる、とも見られている。『Stadia』での4Kゲームプレイが当たり前になるのは、まだ先の話のようだ。