エゴサーチで身を削り、「金のため」なら固執しない……『さらばYouTube』の“最悪を最高に変える面白さ”
そしてもうひとつ、見た瞬間に震え上がった企画がある。それが「しずる池田とフルーツポンチ村上のアーバンブルーラジオ」。筆者はさらばYouTubeをチャンネル登録しており、更新のたびに通知が来るように設定しているのだが、「青春の光Official YouTube Channel新着動画 しずる池田とフルーツポンチ村上のアーバンブルーラジオ」の文字が出た瞬間、意味不明すぎて脳が完全に停止した。なんの間違いでもなく、その名の通りしずる池田とフルーツポンチ村上の2人に毎週30分、ラジオ番組を放送させているのだ。当然さらば青春の光は動画にいっさい出てこず、完全に「場所借り」としてこのチャンネルを使っている。意味が本当にわからない。
かつて自分達のチャンネルで他人の番組を持たせたYouTubeチャンネルがあっただろうか。そしてこれはある意味では「究極のビジネスモデル」とも言える。「自分達のチャンネルだからといって必ずしも自分達が出演する必要はない」という死角の外からの発想に恐れおののいた。良い意味で「こだわり」がないからこそ、時には自分の身すらも削ってコンテンツにし、YouTubeの常識すらも覆していけるのかもしれない。
去年8月22日放送の『ゴッドタン』(テレビ東京系)内の企画「YouTube芸人サミット」にて、YouTubeに取り組む理由を「少しでもお金になれば」と語っていた彼ら。人によっては「金のため」発言をすればファンから「失望した」といった声があがっていてもおかしくないだろう。だが、ここまでぶっちゃけてもファンの中にある「さらば青春の光」がまったくブレないのは、二人が普段から「素」を見せてくれているから、そしてなにより二人の面白さが「唯一無二」だからに他ならない。
■かんそう
1989年生まれ。オールジャンルミクスチャーブログ『kansou(king and soul)』を運営。記事によって変わるテンションの落差に困惑の声多数。『QJWeb クイック・ジャパン ウェブ』『SUUMOタウン』『We Love Expedia』などでも執筆。