『うたわれるもの』が見出したSRPGの新たな可能性 『FE 風花雪月』との意外な共通点とは

 1月22日、『うたわれるもの 散りゆく者への子守唄』のPC版が、Steamにてリリースされる。

 シリーズ第1作『うたわれるもの』(2002年/PC)のリメイクとして、PlayStation2版やPlayStation Vita版、PlayStation4版が発表されている同タイトル。原作の発売から約20年が経ち、ようやくPCへと“逆移植”される運びとなった。

 本稿では、『うたわれるもの 散りゆく者への子守唄』PC版リリースのトピックから、「シミュレーションRPG」というワードをピックアップし、ゲーム史を名を刻んできた2つの金字塔シリーズを紹介する。

『うたわれるもの』が生み出した“アドベンチャー+シミュレーションRPG”という試み

PS4/Vita版『うたわれるもの 散りゆく者への子守唄』プロモーションムービー

 『うたわれるもの』は、PCゲームブランド・Leafが2002年にリリースしたゲームタイトル、および同名タイトルを第1作とする作品群だ。これまでに、『うたわれるもの 偽りの仮面』(2015年/PlayStation3など)、『うたわれるもの 二人の白皇』(2016年/PlayStation3など)を含めた全3作のナンバリングのほか、リメイクやスピンオフ、スマホゲーム、アニメ作品などがシリーズから展開されている。

 同タイトルの特徴は、本来的に別である2つの要素を融合させたゲームデザインを持つ点にある。主人公・ハクオロを一人称に物語を描いていく「アドベンチャーパート」と、その進行にともなって発生した戦闘シーンを、アドベンチャーとは別の角度からプレイヤーに体験させる「シミュレーションRPGパート」だ。この2つの調和によって『うたわれるもの』は、濃密なストーリーテリングと、インタラクティブなゲーム性を両立した。スタンダードなアドベンチャー・シミュレーションRPGの両ジャンルが抱えていた“弱点”を、こうしたアプローチで克服した格好だ。

 Leafの母体であるゲーム制作会社・アクアプラスは、『ToHeart』シリーズ・『WHITE ALBUM』シリーズなどに代表されるビジュアルノベルで知られている。同社が培ってきたノウハウを結集して作られた、集大成的タイトルが『うたわれるもの』であると言える。

ゲーム史に名を刻む2つの金字塔 『オウガバトルサーガ』と『ファイアーエムブレム』

 もちろん王道的なシミュレーションRPGにも、多くの名作とされるタイトル・シリーズがある。この項では、「シミュレーションRPG」という分類を共通項に、同ジャンルの金字塔たちを紹介したい。

 まず挙げておかなければならないのが、『オウガバトルサーガ』シリーズだ。同シリーズは、チーム単位でのリアルタイムストラテジーである『オウガバトル』と、キャラクター単位でのターン制ストラテジーである『タクティクスオウガ』から構成される。1993年、第1作となる『伝説のオウガバトル』がスーパーファミコンでリリースされて以降、これまでに3作のオリジナルと2作のスピンオフ、1作のリメイクが発表されてきた。シミュレーションRPGの王道、さらにはジャンルの垣根を超えた名作として、今日にまで名を残している。

 オリジナル3作の物語がオウガバトルサーガ全8章の5~7章と位置づけられていたことで、その後のさらなる展開を期待させたが、1999年の『オウガバトル64』リリースを最後に続編が途切れている(派生作品としては、2010年の第2作リメイク『タクティクスオウガ 運命の輪』が最後)。2002年には開発・発売元であるクエストのゲーム事業をスクウェア・エニックスが買収。開発の中核を担ったスタッフの同社移籍などを含めた一連の動向を端緒に、スクウェア・エニックスの人気作『ファイナルファンタジータクティクス』とクロスオーバーしたことでも話題となった。『オウガバトルサーガ』の新作を心待ちにしているフリークは少なくないだろう。同シリーズを金字塔として扱うことは、シミュレーションRPGファンの総意と言っても過言ではないのかもしれない。

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