Appleが“コロナパーティー”開催を助長するアプリに停止措置

 クリスマスや新年などのイベントが重なった年末年始の中、第二波、第三波へと発展している新型コロナは変異を経てイギリスで大流行しており、日本でも緊急事態宣言の発令が検討されるなど、世界中で日々新感染者数を更新している状態だ。

 欧米では昨年の3月あたりから数回に渡りロックダウン(都市封鎖)が行われており、大きな集まりは禁止され、基本的な買い物や運動以外は外出禁止となっている。感染を防ぐため、接触は同じ身内などそれぞれ把握可能範囲のバブル内に限られており、国や地域によっては罰則を伴う。

 そんな中、アップルは先日、パーティ(イベント)主催アプリ「Vybe Together」をアップストアから削除した。同時期にTikTokも「Vybe Together」の新年パーティー開催を促すプロモーションビデオが投稿されたことを受け、同アプリのアカウントを削除している。

 なぜ「Vybe Together」は削除されてしまったのか。それは、このアプリが“コロナパーティー”を開催するために使用されている、とニューヨークタイムズ紙の記者Taylor Lorenzの調査したによって明らかになったからだ。

「Vybe Together」の機能と問題点

 「Vybe Together」は“Get your rebel on. Get your party on.”(反抗心とパーティを身につけて)というキャッチフレーズをウェブサイトに掲載しており、パンデミックにより一人で過ごす人たちが増える中、人とのつながりを提供しようというミッションのもと、大規模な集会の開催を可能にしていた。これは集会制限のかかる欧米各地において、明らかに違法行為を推進していたことになる。

 それだけでなく、このアプリは実際にニューヨーク内で行われたパーティのエントリーに使用されていたことがわかっており、他にもあちこちで“秘密に開催”されていたパーティや集会への参加を可能にしてしまった。それもそのはず、主催者からの承認のみでのイベント参加可能であったり、二時間前まで開催地をシークレットにできるなど、違法なパーティーを開催するためともいえる機能が多く組み込まれているからだ。AppStoreで25件しか評価が投稿されておらず、Instagramのフォロワーも1000人以下であることから、そこまで大規模な影響を持っている様子ではないが、あくまで機能だけを見れば、明らかに新型コロナのクラスターを引き起こしかねないアプリだ。

新型コロナとイベント業界

 昨年度は、東京オリンピックの延期やカンヌ国際映画祭のオンライン開催への移行などから見られるように、世界各地で大規模イベントの中止・延期が見られた一年だった。パーティーなどを含むイベント開催サイト「Eventbrite」は、昨年7月に社員の45%を解雇し、2019年第3四半期に比べ73%の収益減を記録している。PCMAのイベント会社に向けたアンケートによると、87%の参加予定者が今後のイベント参加をキャンセルし、66%の開催予定イベントが延期になっているという結果もわかった。イベント業の大打撃は、主催者だけでなくイベント自体を取り巻く集客におけるマーケティングからプロダクションデザイン、レンタル会社、ケータリングなどの飲食業など幅広い業界に影響する。そして、参加者たちの自粛だけではなく、政府側からの要請として都市封鎖や集会禁止が出されているいま、両者からの板挟み状態となり、そこから抜け出すことは難しい。