新時代のライブ体験を進化させる? “AI駆動型のバーチャルDJ”がもたらすものを考える
一方、AIを使ったDJプレイは近年、飛躍的に進歩を見せており、すでにオートプレイが可能になっているDJソフトやアプリも少なくない。また、日本でも株式会社バンダイナムコ研究所が、ゲームAIとXRテクノロジーを活用したインタラクティブ・バーチャルキャラクター・パフォーマンスシステム「BanaDIVE™ AX」を発表しており、今年6月末には同システムを活用したバーチャルライブパフォーマンスが披露されている。「BanaDIVE™ AX」を活用したAIバーチャルDJによるパフォーマンスでは、オートプレイのDJミックスを披露するだけでなく、視聴者による選曲リクエストも行われており、その結果によって、次にプレイされる楽曲がリアルタイムに選曲されていたことで、視聴者とAIバーチャルDJ側の間でインタラクティブな交流が生み出されていた。このような機能が「JAI:N」のようなAIバーチャルDJに加えられることで、ただパーソナライズされた以上のDJプレイも可能になるだろう。こういったAIバーチャルDJが仮想空間で行われるバーチャルライブに加わることで、今後、さらにその特性である”バーチャルでしかありえない体験”が進化し、これまで以上にその世界観に没入できるイマーシヴな体験が生まれることが予想できる。
コロナ禍が契機になったとはいえ、昨年の段階ではバーチャルライブがここまで身近になるとは思えなかった。また、AIバーチャルDJに関してもこれまで配信でそのようなものを見るというイメージをする人は少なかったのではないだろうか。
しかし、現在ではバーチャルライブは、広く浸透したと言える状況であり、今後、先述したようにバーチャルライブとの親和性を考えると、バーチャルライブと融合することでAIバーチャルDJの普及のスピードも劇的に上がっていくことが十分に考えられる。そうなれば、バーチャルライブ自体にも新たな体験の価値が加えられることになるため、その意味で「JAI:N」のようなAIバーチャルDJは、ライブ体験のさらなる進化の鍵を握っていると言えるだろう。それだけに来年は引き続き、この界隈の動向にも注目していきたい。
■Jun Fukunaga
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター。DJと音楽制作も少々。
Twitter:@LadyCitizen69
〈Source〉
https://sensoriumxr.com/articles/sensorium-teams-up-with-mubert-to-create-first-ever-ai-powered-virtual-djs
https://djmag.com/news/world-s-first-ai-djs-playing-ai-music-are-here