HPが新製品を発表 有機素材で作られたキーボードなどサステナブルな一面も

HPが新製品を発表

再生可能な有機素材で作られたシザーキーボードなど、環境への配慮を強化

 HPはさらに今回の発表で、サステナビリティの向上に注力したことを強調した。『HP Spectre x360 14』ではシザーキーボードに再生可能な有機素材を採用したことで、約590kgの石炭を燃焼した時に発生するのと同等のCO2排出量が製品の耐用期間中に削減。

 また、製品の梱包材には発泡プラスチックに代わりに100%再生パルプモールド材が使用されている。

『HP Chromebook x360 13c』も環境に配慮した設計となっており、再生アルミニウムが75%使用されたトップカバー、再生プラスチックが50%使用されたキーボード、オーシャンバウンド・プラスチックを使用したスピーカーハウジングを備え、総質量の29%が再生素材で構成されている。

 HPが環境に配慮するのはPC本体だけではなく、モニターやアクセサリなどの周辺機器からもサステナビリティを感じることができる。細部に至るまで不要な材料を排除し、環境に配慮した製品の提供を目指す狙いだ。

『HP U28 4K HDR ディスプレイ』はオーシャンバウンド・プラスチックを使用した、世界初の個人向けモニターである。持続可能な形で調達されたリサイクル可能なパッケージを採用した。

『HP Renew スリーブケース 14』は500mlのペットボトル約10.7本に相当する再生素材を繊維として加工して作られたスリーブケースで、13.5インチノート PCに対応。製造過程の廃棄物は1個あたり1g以下で、総質量の96%が再生素材で構成され、堆肥化可能(コンポステーブル)なパッケージを採用している。

環境だけでなく、人にも優しいプロダクトを

 HPが積極的に環境問題に取り組んでいる理由として、デザイン部門グローバル責任者ステイシー・ウルフは「我々が提供する製品はエコを重視し環境に良い結果をもたらすことが重要」と強調。一例として、製品に使われるコーティング剤について語った。

 通常、製品に使われる樹脂素材には溶剤系か水性のコーティング剤を塗るが、HPでは水性材を選び、2021年以降は全てのHP製品に水性のコーティング剤を用いるという。「この取り組みは環境に良いだけでなく、人にも優しい」と述べた。

 新型コロナウィルスの影響で、ユーザーの生活習慣への変革が余儀なくされた現在、PCの開発はこれまでのように利便性だけを追求されたものは求められていない。HPのこの取り組みは、あるいは自然環境への配慮や、ユーザー一人ひとりの生き方をより豊かにするための視点が必要とされている事の象徴とも言える。

 ステイシーはこう語る。「今、世界は新しい枠組みの中にあるため我々も開発アプローチを変えました。必要があったからこそ生み出されたアプローチと確信しています。今、世界は分断されかつてのような自由な行き来ができません。(今回の新製品は)世界的なパンデミックという状況に対応するピンチをチャンスに変えるような商品です」

 この時代だからこそ生まれたこれらの製品は、HPのみならずPC産業の未来を占うものになっているだろうか。これからのHPの躍進に期待するばかりである。

■長門繭
フリーライター兼イラストレーター。ブログ運営を中心に2016年からライターとして活動を開始し2018年に独立。エンタメ系、旅行、テック、時事など得意分野は幅広い。現在はイラストレーターとしても活動中。

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