日本版リメイクでブーム再燃、オリジナル『24 -TWENTY FOUR-』の魅力とは シーズン3にはコロナ禍に通じる要素も

「俺は連邦捜査官ジャック・バウアー。今日は人生でもっとも長い一日になるだろう」

 2001年11月から2014年にかけて放送され、世界中で大ヒットしたドラマシリーズ『24 -TWENTY FOUR-』(以下『24』)が再び注目を集めている。今回、リメイク版『24 JAPAN』(テレビ朝日系)の放送に合わせてオリジナル版を視聴する人が急増。シリーズ累計レンタル回数3億回を記録するなど社会現象にもなった『24』について、改めてその魅力を探ってみたい。

テロの脅威にリアルタイムで対処

 『24』最大の特徴は、1日を24回に分けて描くリアルタイム進行だ。原則として回想シーンはなく、セリフで状況説明が行われることも多い。テロ予告から解決までの24時間で起こる数々の脅威に、ジャック・バウアー(キーファー・サザーランド)が果敢に立ち向かっていく。ジャックを中心に、CTU(テロ対策ユニット)のメンバーやアメリカ大統領、テロリストたちの動きを同時進行で追うことで、刻々と迫るテロの脅威を肌で感じ、テロとの戦いの舞台裏を見ているような感覚に陥る。

 タイムリミットサスペンスの要素を持った『24』では次から次へとトラブルが襲い掛かる。まるでジャックに休む間を与えないかのようだが、ジャック以外の登場人物も試練に見舞われる。1日が過ぎる頃、それぞれの運命は交差し、クライマックスでまたもや大波瀾が……。手に汗握る展開を生んでいるのは、クリフハンガーと呼ばれる手法。主人公を困らせることはドラマを面白くする王道とされるが、『24』はお手本のような作品だ。

代名詞的存在のジャック・バウアー

 『24』を知らなくても、「ジャック・バウアー」という名前を聞いたことがある人は多いのではないだろうか? 「『24』=ジャック・バウアー」と言っても過言ではないくらい、ジャックの名前は本作の代名詞となっている。ジャックの活躍は最大の見どころであり、キーファー・サザーランドは本作でトップ俳優としての人気を確立した。

 ジャックは使命遂行に命を捧げるタフガイだ。陸軍の特殊部隊を経てCTUに所属したジャックはシーズン1当時、35歳。ヒーローと聞くと非の打ちどころのない完全無欠なイメージを思い浮かべるが、ジャックの場合は欠点も多い。上官の命令を無視することは日常茶飯事で、時に法を犯すこともためらわないジャックは、まさに暴走特急。頻出するテロ容疑者への暴行・拷問シーンは、アメリカ国内で議論の対象になるほどだった。

 危機的な状況に全身全霊で挑むジャックの姿は真剣そのもの。だが、時に真剣さを通り越して、笑いの領域に足を踏み入れることも。「本当にすまないと思っている」「クソッ!」などの口癖や拳銃を構えたポーズはファン心理をくすぐり、どきどきキャンプ岸学によるジャックのモノマネは『24 JAPAN』“公認”にもなった。これには、日本語版の吹替を担当した声優・小山力也の貢献も大きい。緊迫感あふれる声の演技を通じてジャックのファンになった人は多いはずだ。

 優秀な捜査官のジャックは悲劇の人でもある。愛する人を失い、仲間に裏切られ、自身も拷問や薬物で何度も死の淵を潜ってきた。多くの犠牲を払いながら、それでも危険に身を投じるジャックは自分のことなど頭になく、そんなジャックの勇気に心を打たれてしまうのだ。

 ジャック以外のメインキャストや脇役が魅力的なのも『24』の特徴だ。トニー・アルメイダ(カルロス・バーナード)は、シーズン1の当初はジャックに嫉妬する情けない部下だったが、次第に精悍さを増し、ほとんど全編にわたって登場する重要人物となる。しかめっ面で人気を博した分析官のクロエ・オブライエン(メアリー・リン・ライスカブ)は、長期シリーズ化に貢献した1人。喜怒哀楽を顔に出すクロエは、何かとぶっ飛んでいるジャックに比べて、視聴者が感情移入しやすいキャラクターだった。また、シーズン1の故デニス・ホッパーなど大物俳優の出演や、1話限り登場する役もそれぞれの背景や葛藤が丁寧に表現されておりディテールも抜かりない。

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