『Apex Legends』シーズン7で、ストーリー・キャラの関係性はどのように加速する? 「オリンパス」への訪問が持つ意味を考える
2020年11月4日より、人気バトルロイヤルゲーム『Apex Legends』のシーズン7「アセンション」がスタートした。
本作では2~3ヶ月ごとにシーズンを更新し、その都度、新たなレジェンド(プレイアブルキャラクター)の追加、レジェンド・武器の大幅な能力調整、マップの改修、新システムの導入などが実施される。8月18日から11月3日まで実施されたシーズン6では、新レジェンド「ランパート」の参戦や、新武器「ボルト」の登場、そしてアイテムを制作できる「クラフト」システムなどの新要素が導入された。
今回のシーズン7では、これまで以上の大規模な変化が予想される。遂に昨年10月のシーズン3以来、約1年ぶりとなる新マップが登場するからだ。「キングスキャニオン」「ワールズエッジ」に続く第三のマップ「オリンパス」は、惑星プサマテに存在する天空都市で、広大なフィールドと色鮮やかな自然に満ちた場所。その美しい光景は、先日公開されたゲームプレイトレーラーからも確認することができる。
このオリンパスへの訪問は、単に新たなマップが増える以上の大きな意味を持っている。これまでのストーリーで、この場所には、多くのレジェンド、そして登場キャラクターにとって深い繋がりがあることが示唆されてきたのだ。レジェンドたちにとって、故郷であり、因縁の地であり、目的の場所であるこの地で、彼らの運命は大きく動いていくことだろう。また、シーズン5・6で激変したレジェンド同士の関係性の行方についても気になるところだ。
しかし、本作のストーリーは、主にゲームプレイ"以外"の部分で描かれてきており、その全貌を今から把握するのは非常に困難である。そこで本稿では、これまでの物語と現在のレジェンド同士の関係性を改めて整理し、シーズン7で描かれることが期待される要素についてまとめていきたいと思う。
『タイタンフォール』と『Apex Legends』を繋ぐ新レジェンド
まずはシーズン5から物語に関わってきたキャラクター「アッシュ」、Apexゲームを主催する「ブリスク」、そしてシーズン7から登場する新レジェンド「ホライゾン」の物語について。この3名の物語については、前提として『タイタンフォール』シリーズという別作品について触れる必要がある。
『Apex Legends』は、本作を開発したRespawn Entertainmentが手掛けてきた『タイタンフォール』シリーズ(2014年に初作、2016年に続編を発売)のスピンオフ作品であり、武器や舞台設定などの世界観を共有している。詳細については割愛するが、『Apex Legends』で繰り広げられるApexゲームを主催する人物"ブリスク"、バンガロールがかつて軍人として所属し、レイスがシニアサイエンスパイロットとして働いていた"IMC"、ミラージュが兄弟を失った"フロンティア戦争"といったワードは『タイタンフォール』でも物語のメインとなる要素として描かれてきた。
とはいえ、『Apex Legends』はあくまで独立した作品であり、これまで両作品が実際に深く繋がることはなかったが、シーズン5以降、一気に両作品のクロスオーバーが加速することになる。きっかけは、シーズン5で実施されたクエスト『壊されし亡霊』だ。全11話で描かれてきたストーリーのクライマックスで、『タイタンフォール2』に登場するシミュラクラム“アッシュ”が現れたのである(シミュラクタムとは、本作の世界において元の人間の知能や記憶をロボットに移植した人造人間を意味する。レブナントもシミュラクラムの一人)。謎の地下施設で発見されたアッシュは、(その時点では)要領を得ない台詞を話し始め、最後に「ようこそ、オリンパスへ」と呟いたのである。この時点でオリンパスへの訪問は示唆されていたのだ。
そして、シーズン6で実施されたコミックでは、内部データを抜かれて廃棄されていた記憶喪失状態のアッシュをパスファインダーが発見し、なんと自宅で共同生活を繰り広げていたことが発覚する。さらに、アッシュの元へブリスクが訪問し、実はブリスクがアッシュを隔離していたことが明らかに。元々『タイタンフォール2』の物語ではアッシュはブリスクに雇われて働いていたのだが、その後、何かしらの出来事が起きて、そのような判断に至ったのだろう。ブリスクと出会ったアッシュは記憶を取り戻し、一触即発の状態となるが、ブリスクは「旧い友人」が戻ってきたことを伝え、シーズン6での彼女たちの物語が終わる。
そして新レジェンド“ホライゾン”は、このアッシュと深い繋がりのあるキャラクターであることが示唆されている。彼女の過去を描いた映像作品『アウトランズ・ストーリーズ – “約束”』では、天体科学者である彼女が、故郷であるオリンパスのエネルギー問題を解決するため、ブラックホール付近に存在する謎の物質「クリスタル」こと「ブランシウム」の回収というミッションに挑んでいたことが明らかになる。回収こそ成功するものの、彼女は同乗していた同僚の裏切りに遭い、時間の流れが大きく異なるブラックホール付近に置いていかれてしまう。何とかオリンパスへ戻ってきた頃には、何と87年もの歳月が経ち、すでに最愛の息子も亡くなってしまっていた......。そして、この"裏切った同僚"が、人間時代のアッシュである可能性が非常に高いのである。
理由としては、同映像に映る同僚の顔の輪郭がアッシュに類似している点、前述の『壊されし亡霊』でのアッシュの"要領を得ない台詞"の中で「全ての道はブランシウムに繋がっている」とブランシウムに言及し、さらに公式twitterで公開されたホライゾンからのビデオログと全く同一の「朝食前のちょっとした裏切りだね、おまいさん?」という言葉が発せられている点が挙げられる。少なくともアッシュとホライゾンに何かしらの繋がりがあるのは間違いないといっていいだろう。もしかしたら、ブリスクが言う「旧い友人」とは、ホライゾンのことなのかもしれない。
[INCOMING TRANSMISSION] ORIGIN: UNKNOWN pic.twitter.com/3P88HFoH70
— Apex Legends (@PlayApex) October 21, 2020
ホライゾンとアッシュの関係性については、本稿執筆時点ではあくまで仮説に過ぎない。だが少なくとも、シーズン7の物語の中心人物がホライゾンとアッシュであるのはまず間違いないだろう。そもそも、最初にオリンパスの名を口にしたのは他ならぬアッシュ自身である。『タイタンフォール2』の後でアッシュとブリスクの身に何が起きたのか、何故ホライゾンは裏切られてしまったのか、裏切り者は持ち帰ったブランシウムを何に使ったのか、そもそも何故アッシュはここにいるのか。オリンパスで、これらの謎を追求する旅が始まろうとしている。
また、シーズン6コミック中の「Five by Five」というアッシュの発言や、ランパートの画面に映るタイタンの姿から、新たな『タイタンフォール』シリーズからのキャラクターとして、“バイパー”が登場するのではないかという説もある。そもそも『タイタンフォール2』の終盤において、同作の主人公であるクーパーにブリスクがApexゲームへの招待状を渡す場面があるのだが、その行方もまだ明らかになっていない。もしかしたら、アッシュを皮切りに、今後は『タイタンフォール』シリーズと『Apex legends』のクロスオーバーがさらに加速していくのかもしれない。