『ドラ恋』澤田先生に聞く、メンバーへの“演技指導”を通して感じたこと

『ドラ恋』澤田先生インタビュー

 ABEMAの人気恋愛リアリティーショー『恋愛ドラマな恋がしたい』(以下、『ドラ恋』)の新シーズン、『恋愛ドラマな恋がしたい~Kiss On The Bed~』が、9月26日23時より配信開始となる。

 “恋愛ドラマの共演をきっかけに恋は生まれるのか?”をテーマに、若手俳優が毎話キスシーンのある恋愛ドラマの撮影をしながら、その主演争いと恋愛模様を追いかける本作。

 新シーズンはさらにパワーアップして、全話ベッドシーンもあるという本格的な恋愛ドラマとなる。また、今回新たな試みとして、出演者たちが共同生活を行い、選ばれた男女1組のペアのみが翌日の主演オーディションに向けてより濃い稽古をするために「同棲ハウス」にて一晩過ごすという新ルールが追加される。

 今回は、『ドラ恋』シリーズに演技指導としてずっと携われてきた“澤田先生”こと澤田育子氏に、本シリーズの見どころなどを聞いてみた。

演技を通してメンバーの気持ちが見えてくることも……

――まず、澤田先生が思う“『ドラ恋』シリーズの魅力”について、聞かせてもらえると嬉しいです。

澤田育子(以下、澤田):色んなキャリアや技術に幅のある男女が集まったうえで、私が主に担当している演技部分に、同時進行している恋愛というものが透けて見えてくる。その両者が影響し合うのが面白いところではないでしょうか。普通に若い子たちが集まって演劇をやるということだけではないのが、この番組ならではの魅力だと思います。

――回が進むに連れて、出演者の皆さんの関係性も深まり、様々な恋愛模様が繰り広げられると、それは演技にもダイレクトに反映されてくるのでしょうか?

澤田:私は恋愛的な矢印がどこに向いてて、どんなことが起きているかについては感知していないのですが、それでも演技をやっていくと「あれ、この子と組むと随分やる気満々だな」とか、反対に「この子とだったら何だか独りよがりにお芝居しているな」とか、「もしかしてこういう矢印なのかな」と彼らの気持ちが見えてくる部分もやはりありますね。

――先生が感じられる出演者の気持ちは、後で見返してみると当たっていることが多いですか。

澤田:そうですね、やっぱり稽古をしている間やオーディションでペアで取り組んでいる姿を見ると、(相手への)気持ちが入っている・入っていないが如実に出るタイプの方もいるので「あ、やっぱりか」って納得したり。「あ、意外にそこはちゃんと隠せてお芝居モードでやってたんだ」って後から思ったり、それぞれで面白いですね。

――通常の演技だけでなく恋愛も絡んでくるのが『ドラ恋』の面白みとのことですが、そんなメンバーを指導するにあたり、気をつけていることはありますか?

澤田:普段お芝居を演出したりレッスンで教えたりする時に、その方たちの恋愛感情や恋愛の状態って正直どうでもいいことじゃないですか。普段は全く関係なくやっているのですが、『ドラ恋』の場合はドラマの台本が恋愛の気持ちに基づいた内容のものが多いので、ご本人のプライベートな感情が出やすいですし、嘘を付けないタイプの子もいれば、お芝居のテクニックとして演技でカバー出来る子もいる。色んなタイプのメンバーがいるからこそ、何とかお芝居として彼らの気持ちや特性を一番良い形で乗せて表現できたらなと思っています。

――通常の演技指導をする場合よりも、気持ちが乗っているからこそ制御しなければいけない側面もあったりするのでしょうか。

澤田:気持ちが向いていない相手とペアを組む場合に、演劇としての面白さを掴んで欲しいなという気持ちはありますね。もしかしたら組んだ相手に新たな気持ちが芽生えるかもしれないので、やっぱり同じものに向かって気持ちを合わせる、演劇に夢中になるという経験はして欲しいなと思います。

――本人の気持ちや好き嫌いに関係なく、ペアを組んでみた相手とすごく良い作品が出来た時に、そこから関係が始まることもあり得る訳ですもんね。

澤田:そうなんです。あまり興味ない相手と組んだからといって塞いでしまうと芝居としても発展性がないから、まずはお芝居だと思ってどういう気持ちで臨めばいいかというところから入ってみると、意外にそれは恋愛に向かうかもしれない。そこをなるだけ広く捉えられるようにするお手伝いをしたいと思います。

――ちなみに、澤田先生の中で、“この子は伸びそうだな”とか“途中で化けそうだな”と思う人の特徴はあるんでしょうか?

澤田:いやいや、皆さんお若いですし、可能性のある方ばかりなので。ただ、個人的には「演技未経験」の方には興味が湧きますね。未経験の方のプレッシャーって凄いと思うから、その中でどうやって皆に揉まれながら自分の表現を魅せてくるんだろうと。あとは「悩んでいる子」。何度も壁にぶつかって苦しんでいる子にほどチャンスが来るんだなと思うことはよくあります。

――たしかに、演技未経験者と経験者が同じ空間で切磋琢磨する現場って珍しいですよね。

澤田:未経験の方って、キャリアがあったり技術があったりする方より凄くパワーを持っているなと思いますね。変に固定観念や経験値にとらわれていない分、すごく自分の感情に素直でとても魅力的に映りますし、主演を獲ったり一度自信がつくと、より自由に表現できる。『ドラ恋』の場合だとキャリアや技術だけで見られるのではなく、気持ちの部分も重視されるので、キャリアがある人の方が悩むのかもしれません。

――経験者からすれば、そういう環境に身を置くことで凝り固まった自分の価値観みたいなものを壊す契機にもなるんでしょうか?

澤田:何で未経験の人に負けなきゃいけないんだって思う時もあるでしょうし、でも実際に演技を見てみるとなぜ選ばれたか納得できてしまう。未経験だからこそ、上手く魅せようというところがなく、剥き出しでいく感があって敵わないなと思う部分もあると思います。“こうやったらこう見えるかな”という技術だけでは太刀打ちできない、と壁にぶち当たられている経験者の姿はよく目撃します。

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