今年で20周年の『ぼくのなつやすみ』はなぜ色褪せない? いまもゲーム実況動画が相次ぐ理由を考察

 田舎の夏休みを追体験できる人気シリーズ『ぼくのなつやすみ』(以下、ぼくなつ)。今年で20周年を迎えた本シリーズだが、新作のリリースがストップして久しいなか、いまもなおゲームファンに愛され続けており、今年も多くの“実況動画”が投稿されている。本稿では、シリーズの魅力を再考するとともに、いまもゲーム実況が相次ぐ理由を考察していきたい。

 まずはゲーム自体の魅力について。2000年6月22日に第1作目が発売され、今年で20年の節目を迎えた「ぼくなつ」シリーズ。「なくしたもの思い出しゲー」として知られる本作は、昭和の夏をテーマに主人公のボクくんを操作して夏休みを過ごしていくアドベンチャーゲームだ。2000年6月に1作目となる『ぼくのなつやすみ』が発売されたのち、2002年7月には『ぼくのなつやすみ2 海の冒険篇』、2007年7月に『ぼくのなつやすみ3 -北国篇- 小さなボクの大草原』、2009年7月に『ぼくのなつやすみ4 瀬戸内少年探偵団「ボクと秘密の地図」』と続編がリリースされ、それぞれ舞台を変え、多様な田舎暮らしを体験することができた。

 『ぼくなつ』には、主人公のボクくんが母親の臨月のため親戚の住む田舎町に夏休みの1ヶ月間預けられるという共通の設定があり、プレイヤーは8月1日から31日までの1ヶ月間という限られた時間を思い思いに満喫していく。ストーリーの骨子はある程度組まれているものの、基本的にどのような夏休みを過ごすかは、プレイヤーに委ねられている。人生に同じ夏休みがないように、繰り返し遊ぶことができるゲームなのだ。のんびりと過ごすのもよし、コレクションに没頭するもよし、虫相撲に熱中するもよし……この自由度こそが、『ぼくなつ』の魅力といえる。

 その自由度を支えているのが、「昆虫採集」「虫相撲」「魚釣り」といったやりこみ要素だ。薬用石鹸「キレイキレイ」のCMに代表される上田三根子のシンプルながら個性的なキャラクターデザイン、ほっこりする会話や印象的なBGMも大きな魅力だが、童心に返ることができる遊びの数々が用意されており、なかでも虫相撲はシンプルな戦闘システムながらお互いの駆け引きの要素があり、なかなか奥が深い。これらのやりこみ要素に時間を忘れて熱中してしまった方も多いのではないだろうか。

 そのなかで、「1ヶ月」という期間が設けられているのは「ぼくなつ」特有のゲーム性だろう。時間が限られているため、“やりこみ”にも限界がある。ノスタルジーを刺激する演出の数々もあり、だからこそ夏になるたびに何度もプレイしたくなるのではないか。

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