『ドラクエタクト』は良くも悪くも“ドラクエ”っぽい? 待望の新作に揺れ動くプレイヤーの複雑な感情

 2020年7月16日、『ドラゴンクエスト』シリーズから最新作のスマートフォン向けゲーム『ドラゴンクエストタクト(以下、ドラクエタクト)』が正式リリースされた。2月のβテストから約4か月半の時を経て、サービス開始へと至った同タイトル。今後続けていくかはさておき、一度プレイしてみたというゲームフリークも多かったのではないだろうか。

 本稿では、正式リリースを迎えた『ドラクエタクト』をプレイし、課金までおこなったうえで、同タイトルをレビューしていく。シリーズ待望の新作はあなたにとって、想像どおりのタイトルとなっただろうか。

ドラクエタクトの基本システム

 『ドラクエタクト』は、シリーズ初のシミュレーションRPGだ。マス目状のマップにモンスター5体を配置し、プレイヤーは数あるクエストへと挑む。

 ゲーム内にはおなじみのモンスターが多く登場。それぞれがレベルアップにともなって、個性あふれる特技や呪文を覚えていく。お気に入りのモンスターを使い続けたり、モンスターを仲間にするために特定のクエストを周回したりと、『ドラクエモンスターズ』的な楽しみ方が可能だ。

 また同タイトルには、シリーズ共通のステータスのほかに「ランク」という概念が用意されており、すべてのモンスターがポテンシャルに応じてS~Fの7ランクに分類されている。上位ほど強力な特技・呪文を覚える傾向にあり、ステータスも高くなる仕組みだ。しかし、低ランクのモンスターもランクアップ(素材とゴールドにより、レベルキャップの解放とステータスアップをおこなう。モンスターごとに5回が上限)を重ねれば、高ランクと同等またはそれ以上のステータスとなることができる。覚える特技・呪文の質に目をつぶれば、高ランクモンスターなしでも攻略を進められるゲームシステムとなっている。

メインクエストとは別にある『バトルロード』の存在

 『ドラクエタクト』において、プレイヤーに最高のゲーム体験を提供しているのが『バトルロード』の存在だ。

 同モードは、「スライム系」「ドラゴン系」など、ゲーム内に登場する7種類の系統別に用意されたサブクエストで、各ロードにはその系統に属する特定のモンスターしか参加できない。たとえば、「スライム系」の「スライムナイトロード」では、ロード名にある「スライムナイト』が固定の必須メンバーとなり、そのほか「スライム」「スライムベス」「ホイミスライム」「スライムつむり」「エンゼルスライム」「メタルライダー」「スライムボーグ」のうち、所有するものから残りのメンバーを選ぶという形だ。

 『バトルロード』には、7クエスト構成・全15のロードが用意されているが、指定モンスターは低ランク(B以下)がほとんどである。つまり、スマホゲーム特有の高レアリティによるパワープレイができない仕様なのだ。

 さらに同モードは消費するスタミナも0となっている。そのため、時間さえかければ、すべてのプレイヤーがほぼ同列に攻略を進められるのだ。

 『バトルモード』は、『ドラクエタクト』に心地よいゲーム性を生んでいる。程よいバランスで埋め込まれた縛りとやりこみ要素、課金したプレイヤーだけが恩恵を受け続けるわけではないバランス。“課金ゲー”と非難されることの多いドラクエシリーズのスマホゲーにあって、同モードは素晴らしい体験をプレイヤーにもたらしているはずだ。

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