『ドラクエタクト』はなぜ面白い? 歴代『ドラクエ』の系譜から紐解く

『ドラクエタクト』はなぜ面白い?

 2020年7月16日、スクウェア・エニックスがスマートフォン向けアプリ『ドラゴンクエストタクト』の正式サービスを開始した。初日に100万DLされるなど注目度の高い本作には、どのような魅力があるのだろうか? 本記事では過去にリリースされたドラゴンクエストシリーズの伝統も踏まえ、その魅力に迫っていく。

ドラゴンクエストには珍しい戦略シミュレーションゲーム

 『ドラゴンクエストタクト』は骨太なシミュレーションRPGだ。ドラゴンクエストのナンバリングタイトルはすべてオーソドックスなRPGだが、近年では『マインクラフト』などのサンドボックス要素を採り入れた『ドラゴンクエストビルダーズ』や、アクションゲームとして制作された『ドラゴンクエストヒーローズ』などの派生作品もある。しかし、シミュレーション要素があるゲームは非常に珍しい。

 本作では、マス目で区切られたマップ上でモンスターを操作し、敵を倒すことが主な目的となる。『ドラゴンクエストモンスターズ』のシリーズを遊んだ人であれば、あの作品にシミュレーション要素が加わったと考えると想像しやすい。また、本作は一般的なシミュレーションRPGの流れを汲みながら、一度に出撃できるユニット数は5体までと少ない。これはスマホアプリならではの手軽さを追求した結果といえるだろう。コンシューマーゲームのシミュレーションRPGでは、一つのステージを攻略するのに1時間以上かかることも多い。しかし、本作では1ステージにつき3分程度しかかからないため、忙しい人でも手軽に遊ぶことができる。

ドラクエブランドだからこその安心感

 『ドラゴンクエスト』シリーズは、これまでに劇的な進化を遂げてきたわけではない。どの作品を遊んでも同じデザインのモンスターが登場したり、序盤の武器屋では必ず「どうのつるぎ」が並んでいたりとパターン化されている部分は否めないだろう。しかし、これはシリーズが30年以上の時間をかけて築き上げた「様式美」とも取れる。

 シミュレーションRPGを遊ぶモチベーションのひとつに「キャラクター愛」があるはずだ。好きなキャラクターだけで編成した部隊を鍛え上げ、戦場で活躍させることに楽しみを見出す人は多い。前述したように、ドラゴンクエストシリーズではどの作品にも登場するお馴染みのモンスターがいる。シリーズのアイコンともいえる「スライム」はもちろん、「ドラキー」や「キラーマシン」などもデザインが秀逸で印象に残りやすい。ドラクエをやったことがない人でも、見覚えのあるモンスターはたくさんいるのではないだろうか。そんな日本人に馴染み深いドラゴンクエストの世界観があるからこそ、本作は誰もが入りやすいゲームに仕上がっている。

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