『ドラクエタクト』は良くも悪くも“ドラクエ”っぽい? 待望の新作に揺れ動くプレイヤーの複雑な感情
横たわる残念な“ドラクエらしさ”
その一方で、残念な“ドラクエのスマホゲーらしさ”もある。ユーザビリティを拘束する形で置かれた課金要素だ。
『ドラクエタクト』では、クエストにおけるモンスターの行動をオート進行へと切り替えられる。この進行スピードには3種類があるが、最も時短・効率化できる「超はやい」が課金でしか開放できないのだ。
プレイヤーからすると、「ガチャが回せない」「キーアイテムが手に入りづらい」といった、無課金による“機会損失”のデメリットはまだ納得できる。だが、無課金ユーザーであることを理由にUI/UXを悪くされては堪らないだろう。
ネット上には「なら課金すればいい」「課金してないのに文句を言うな」といった意見も散見されるが、課金プレイヤーもUI/UXを出しに“集金”されていることを忘れてはならない。こうした動線づくりはいかにも“ドラクエのスマホゲーらしさ”といえる仕様だ。
また、その他にも、「スタミナ回復速度の遅さ(5分で1スタミナ回復)」「スタミナ上限の低さ(レベル1で50。現状あるメインクエストのクリアラインとなるプレイヤーレベルでも80程度で、6~7時間であふれる)」「プレイヤーレベルのあがりにくさ」など、露骨にコンテンツの寿命を引き延ばそうとする設計が目立つ。これらの要素もある意味、“ドラクエのスマホゲーらしさ”と呼べるものだろう。
紹介した『バトルロード』の存在にくわえ、「無課金にうれしいガチャ頻度」「秀逸なレベルデザイン」などで、とても面白いゲームへと仕上がっている同タイトル。安易な仕様を残念に思うプレイヤーは多くいるに違いない。
『ドラクエタクト』は、シリーズの歴史に恥じないビッグタイトルとなれるのか。その命運はユーザー目線の運営こそが握っているのかもしれない。
■結木千尋
ユウキチヒロ。多趣味なフリーライター。
執筆領域は音楽、ゲーム、グルメ、テクノロジーなど。カルチャー系を中心に幅広いジャンルで執筆をおこなう。
人当たりのいい人見知りだが、絶対に信じてもらえないタイプ。Twitter:@yuuki_chihiro