情報格差をなくし、すべての人にインターネットをーーSpaceXが衛星インターネット「Starlink」β版を開始

従来の衛星インターネットと異なる点

 衛星インターネットは今までにも存在していたが、Starlinkの一番注目するべき点は低軌道であるというところだ。従来の衛星インターネットは静止軌道モデルを適用していたが、地上から距離があまりにも遠く、インターネット速度に大きく影響していた(高レイテンシ)。しかしStarlinkは、低軌道に衛星を分布することでより短距離かつ多数の衛星を通しての接続を実現し、低レイテンシを可能にする。そして、今年の夏には一般向けに、ベータ版のインターネットサービスが開始される。

 現在は衛星の打ち上げられた北アメリカ、カナダ下部とワシントン州周辺の地方エリアのみが対象に。ベータ版に参加するユーザーはアンテナ、ルーター、電力源を含む自分で導入設置可能なキットを受け取り、使用を開始する。現在の時点での料金設定は、支払いシステムの試用のための1ドルのみだ。

 しかし、不安材料がないわけではない。Starlinkのウェブサイトにもあるように、同サービスはまだ試用段階であり、安定性に欠けるため、ゲームや仕事環境の設置などには問題が生じるかもしれないとのことだ。また、低軌道に衛星が増えることで、地球上空における光害による宇宙調査への影響や、すでに使用されているその他の衛星との衝突などの懸念が上がっている。

 果たしてそのリスクを冒して、インターネット確保が必要なのだろうかという疑問も残るが、これらの難所を超えたところに存在する、“万人がインターネットへアクセスできる世界”はどんなものになるのだろうか。

(画像=Pexelsより)

■mugiho
ニュージーランドの大学でマオリ文化の発展・都市計画・教育について学びながら映画、テック、文化芸術について執筆するフリーライターと翻訳家。人間観察をしながらたまにそれらについて書いたり撮ったりしている。

〈Source〉
https://www.internetworldstats.com/stats.htm
https://www.slashgear.com/starlink-satellite-internet-beta-imminent-as-elon-musk-confirms-dish-details-15629132/
https://www.space.com/spacex-starlink-satellites.html
https://www.reviews.org/internet-service/satellite-internet-work/

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