情報格差をなくし、すべての人にインターネットをーーSpaceXが衛星インターネット「Starlink」β版を開始

 世界中を覆い尽くしている新型コロナウイルスによって、私たちの社会は劇的な変化を遂げている。人や人混みを避けるための主要手段として適用されたインターネットの重要性が増すなか、同時に実際にインターネットへアクセスできる人とそうでない人たちの間で大きな「デジタルデバイド」(情報格差)が問題になっている。これは先進国と発展途上国との間で特に顕著な現象であり、インフラの整っていない国々や先進国の中でも地方に暮らす人たちのインターネット回線へのアクセス不可や回線を繋げる際の追加コストから生じる問題だ。

 これらのデジタルデバイドを最小限に抑え、より多くの人たちにインターネットアクセスを提供しようと開発されたのが衛星インターネットだ。

衛星インターネットってそもそもどんなもの?

 衛生インターネットとは、今までの主に物理的なケーブルを介したインターネット接続ではなく、設置された衛星アンテナさえあればそれを通して衛星インターネットプロバイダーの人工衛星を経由してインターネットにアクセスできる仕組みだ。回線設置の必要性を取り除くことによって、ケーブルの届かないインフラに安定しない地域や僻地などでも、アンテナさえあればどこにいても軌道に乗った人工衛星を通してインターネットに接続できる。

どんな世界が可能になるのか?

 現在、世界のインターネット普及率は世界人口の59.6%と総人口のおよそ半分強だ。欧州をはじめ北アメリカや中東などは70%を超えるが、アジアは55%、アフリカは39%にとどまる。当たり前にインターネットにアクセスすることに慣れている私たちにとっては、考えもしないような数字だ。そしてこれらの私たちの使い慣れているインターネットは、大抵ブロードバンドの設置によって可能になった安定した高速回線のインターネットだ。そして情報格差は、まずはフィジカルなインターネットへのアクセス困難からはじまっている。

SpaceX衛星インターネット「Starlink」ベータ版

 イーロン・マスク氏の宇宙開発会社・Space Xから2018年に打ち上げ開始された衛星インターネットプロジェクト「Starlink」は、これらの問題解決に一躍担うかもしれない。2015年に発表された初期構想では、4000の衛星を低軌道に分布させる計画だった。「ゆくゆくは宇宙空間にインターネットを構築し直すようなことを考えている」とイーロン・マスクはシアトルで発表した。

 2018年に最初の試用二機の打ち上げに成功し、2019年には60機の本稼働用の衛星を打ち上げ、現在に至るまですでに600機ものStarlink衛星が打ち上げられている。

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