“ポストアメトーーク”なニューヨークのYouTubeが熱い!  かが屋、ラランド、ぼる塾など“第七世代”にも注目

ラランド、ぼる塾、かが屋……第七世代の注目チャンネル

ニシダわかりきった重大発表編【ララチューン開設生配信①】

 テレビ業界と同じように、YouTube界においても第七世代の快進撃は止まらない。ニューヨークの「学生芸人」の動画にも出演していたラランドは、2020年4月に『ララチューン』というYouTubeチャンネルを開設。ネタ動画を中心に、2人のトークを軸にした動画を上げている。ラランドと言えば、芸能事務所には所属していないながらも昨年の『M-1グランプリ』で準決勝まで駒を進めた若手芸人の注目株だ。「GERA」というお笑いラジオアプリで聞けるラジオ番組「ラランドの声溜めラジオ」も人気が高く、YouTube動画でもそのトーク力の高さを垣間見ることができる。会社員を兼業するサーヤと、最近大学を中退してニートになってしまったニシダ。この男女デコボココンビの素の掛け合いは、YouTubeでこそ大いに堪能することができるだろう。

ぼる塾がポテトチップス(大)を平らげるまで…#1

 冒頭でも触れたぼる塾は、『しゃべくり007』で取り上げられていたように、「何かを食べながらただただ駄弁っている姿」が愛おしくて時折笑えるYouTubeチャンネルだ。くりぃむしちゅー上田からは「食ってるだけじゃねぇか」とツッコまれていたが、むしろそれがいいのであろう。食事をする動画はYouTubeの定番であるし、ツッコミのあんりが、歳上の田辺さんやズバズバイジってくる親友のはるちゃんをいなしていく様は軽快。元々は別々のコンビであった猫塾としんぼるというコンビが2019年末に合体してできたカルテット(4人組)のぼる塾は、それぞれのキャラクターが立っていてのんびりした会話も飽きることなく聴き続けてしまう。彼女たちの結成秘話については、これまた「ニューヨークのニューラジオ特別編#17」にて詳しく聞くことができるのでぜひ。

かが屋『田舎の事件』コント 2018.04 資料映像

 最後に取り上げたいのは、YouTubeチャンネル『みんなのかが屋』で精力的に斬新な企画を展開しているかが屋だ。昨年は『キングオブコント』の決勝に進出し、『ネタパレ』などでもそのコントネタの独特な空気感にハマる人が続出しているコンビだが、彼らのコントが活きるのはテレビ尺に収められてしまったものではなくより長尺なネタ。ライブでは5分〜10分前後のネタを披露しており、『みんなのかが屋』にはその際の映像がたくさんアップされている。『田舎の事件』や『市役所』といった10分を超えるネタは、1本の映画を観終えた後かのような余韻を与えてくれるだろう。

かが屋『みんなのかが屋#1』15分でコント1本つくる生配信 概要

 そうしたネタ動画も要注目だが、『みんなのかが屋』が面白いのは、より企画性の高い動画を出していること。チャンネル名にもなっている企画「みんなのかが屋」は、生配信で視聴者からアイデアをもらいながら15分の即興で1本のネタを完成させるという視聴者参加型の楽しい企画だ。他にも、お笑いライブが軒並み中止になってしまった3月には無観客ライブ生配信を開催したり、コントや漫才に関する知識を問うリモートでのクイズ選手権を開催したりするなど、“生配信”を軸にコロナ禍でも途切れずに動画を展開。彼らの生配信にも若手の芸人がゲストとしてよく登場するので、お笑いファンは今後も目が離せない。

 実は『ララチューン』と『みんなのかが屋』には、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)や『しもふりチューブ』(YouTube)を担当する放送作家・白武ときお氏が構成作家として入っているのが共通点としてある。芸人と同じように、これまでテレビで活躍してきた作家がYouTubeに進出することも一般化しており、今後ますます芸人YouTubeのクオリティには期待できるだろう。お笑いファンであれば、バラエティやネタ番組で初めてそのコンビの存在に気づく前に、YouTubeで活躍する新鋭の姿に目を凝らしておきたい。

■原航平
ライター/編集者。1995年、兵庫県生まれ。「リアルサウンド」「クイック・ジャパン」などで、映画やドラマ、YouTubeの記事を執筆。Twitterブログ

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