『あつ森』新住民・ジャックはなぜ大人気? 3つの理由とSNSでの「交換」文化について考える
ジャックをはじめ、住民の「交換」文化が盛り上がるSNS
そんなジャックを自分の島に呼びたい、一緒に無人島生活がしたい! と考えるプレイヤーは多い。
本作で、引っ越しにくる住民を見つける方法はいくつかある。基本的には「キャンプサイト」や「離島」でランダムに登場する住民に声をかけることになるが、ズバリ目当ての住民と出会うまで、途方もない時間を要することになる。
そこで活躍するのが「どうぶつの森amiiboカード」だ。お気に入り住民のamiboカードを持っていれば、その住民を島のキャンプサイトに呼び出すことができ、条件を満たせば自分の島に引っ越ししてきてくれる。
しかし、ジャックを含めた新住民たちは、まだamiiboカードにラインナップされていない。
これが新住民たちがプレイヤーたちに渇望される理由でもある。
そして、「別の島から引っ越してきてもらう」という方法がある。
本作では、自分の島から引っ越すことを決めた住民に、別の島から訪れたプレイヤーが話しかけると、そちらの島を引っ越し先に決めてくれる。そして本作は、元々親しい友人以外でも、インターネットを介して簡単に招待することができる。
このことから、SNSで住民を「交換」する動きが、大変活発となった。
自分の島から引っ越そうとしている住民がいる人は、誰か島に呼びたい人は居ませんかと声をかける。どうしても特定の住民を呼びたい人は、あなたの島から引っ越そうとしていませんか?と呼び掛ける。
ジャックを始めとする人気の住民たちは、ひとたび投稿があると多数の人が手を挙げるので、競争率が高い。そこにゲーム内のアイテムを提供する条件が加わることもあり、「住民」を交換するやり取りは、かなりシビアで熾烈なものとなっている。
住民の移住だけでなく、季節限定のアイテムや、島によって売値が異なる「カブ」の売買についても、SNSでの交換は白熱。(日曜の午前中には、カブの最低購入価格を示す「カブ90ベル」がトレンドに入るほどだった)
こういった様子は、無人島でのスローライフという『あつ森』のイメージからは、少し意外に感じられるかもしれないし、本来の楽しみ方とはかけ離れているように思えるかもしれない。
しかし、プレイヤーが必死に目当ての住民を探し求めるのは、その住民の可愛らしさや、その住民を好きで好きで仕方がないという気持ち故なのである。
ジャックに魅了されたプレイヤーたちが、ジャックとスローライフを送れるようになる日を祈るばかりだ。
■宮崎栞
編集・ライター・プランナー。編集プロダクションでエンタメ系の書籍・雑誌制作に多数携わり、現在フリーランスとして活動中。Twiter(@siorin7work)