『FF7リメイク』は本当に“駄作”なのか? 2つの視点から考えてみた

『FF7R』は本当に“駄作”なのか?

初週売上は70.3万本。この数字をどう見るか

 4月16日には初週の売上本数が70.3万本だと明らかになった。『FF7R』に集まる賛否をめぐっては、この数字についても言及しておかなくてはならないだろう。同タイトルの出来に対し批判的なフリークは、この数字を持ち出し持論を展開しているが、やや筋違いと思える意見も少なくない。なぜなら70.3万本という数字は、“国内におけるパッケージ版販売数”であるからだ。

 つまりここには海外版・ダウンロード版の販売数が含まれていない。実際に4月21日には、発売から3日で全世界350万本、国内100万本(ダウンロード版含む)の販売を突破したことが、開発・発売元のスクウェア・エニックスより発表された。まだまだオリジナル版の販売数には遠く及ばないが、今後の広がり方次第ではそれを超える可能性も十分にあるだろう。特に初動の売上本数は、直近のシリーズ作品の評価に大きく影響される。前作『FF15』の初動が69.4万本であったことを考えれば、まずまずのスタートだったと言えるのではないだろうか。

『FF7R』の評価を2つの視点から考える

 ずっとファンが待ち望んできた『FF7』のリメイクとは、おそらく“同作の世界をそのままに、最新の技術で作り直したもの“だったはずだ。しかし今回発売された『FF7R』では、映像こそ最新技術で作り直されているが、そのままの世界の構築は叶わなかった。ゲームデザインやシステムにおけるさまざまな要素が現在のトレンドに合わせて文字通り「リメイク」され、“オリジナル版と共通の部分を持った、まったく新しいタイトル”と言えるものが誕生している。『FF7R』に集まる否定的な意見はこのギャップに対するものがほとんどであり、つまるところそれは“リメイク作品であるがゆえの不評”だろう。

 踏まえて同タイトルの評価を考えるならば、「待ち望まれたリメイク」としての賛否と、「1本の独立したタイトル」として賛否は切り離して考えるべきだ。『FF7R』は、「リメイク」として期待に応えるものではなかったが、「1本のタイトル」としては及第点の内容だったとするのが大勢である。完結まで数部作となる同タイトル。リメイクの看板なしにその爪痕を残せるか。ひとりのファンとして今後の展開を注視していきたい。

■結木千尋
ユウキチヒロ。多趣味なフリーライター。
執筆領域は音楽、ゲーム、グルメ、テクノロジーなど。カルチャー系を中心に幅広いジャンルで執筆をおこなう。
人当たりのいい人見知りだが、絶対に信じてもらえないタイプ。Twitter:@yuuki_chihiro

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