ジャニーズが「無観客コンサート」と「手洗い動画」で見せた“いま世の中に為すべきこと”

ジャニーズが動画配信で見せた“社会貢献”

 3月29日から配信されたジャニーズYouTube公式チャンネルの『Johnny’s World Happy LIVE with YOU』。直前に告知され、出演者も前日発表というスクランブルな動きながら、最終的には追加日まで実施となり、嵐がトリを務めた。

 公演は「感染予防を呼びかけると共に少しでも笑顔と元気を届けたい」の理念を元に、メンバー出演の手洗い動画やオリジナルマスク作成動画を挟みながら、横浜アリーナの無観客ライブをさながらジャニーズのフェスのように配信した。

 出演者だけが発表された状態で配信が開始され、観ていて真っ先に驚いたのは、無観客とは思えない横浜アリーナの様子だった。ステージ上にはいつものコンサートで見るような超巨大なビジョンがあり、その脇を階段のような装飾とライトが並ぶ。照明も四方から照らし、もちろんカメラはクレーンを使って動き回る。センター席には十字に花道が伸び、中央にはセンターステージ。そして観客席には、無数のライトが張り巡らされる。それは無観客とは関係ない、本気のコンサートだった。

 この日程の横浜アリーナは、3月27日と28日が『NEWS LIVE TOUR 2020 STORY』、30日が『Snow Man ASIA TOUR 2D.2D.』の予定で、元々ジャニーズが抑えていた。そして3月中の公演を延期・中止発表したのが3月17日で、3月24日まではジャニーズではないイベントが実施予定だった。つまり、公演中止が決まった上で、改めてあの会場内を準備したのだ。これは、無観客配信のために各コンサート関係者に仕事を発注したことを意味する。通常のコンサートと遜色ない数のライトにカメラも、センター席に観客がいない中のセンターステージと十字に設置された花道も。

 もちろん、実際のコンサートよりは小規模になった部分もある。しかし可能な限り、今回の新型コロナで大きな損害を真っ先に受けたコンサート・エンターテイメントに関わる人へ最大限の仕事を回そうとしたのだろう。

 これはコンサート業界をリードする、背負っているというジャニーズの自負のなせる技だ。もちろんコンサート関係者がいないと、自分たちの今後の興行が実施できないからという部分もあるだろう。しかし彼らが関係業界の仕事を回すこと、自身が負える「公共性」をどう世の中に活用するかを念頭に置いて今回の企画を進めたことは確かだ。

 各グループのライブ配信の間には、ジャニーズメンバーによるオリジナルの手洗い楽曲とダンス、オリジナルマスク作りの映像を流していた。この楽曲「Wash Your Hands」は「勇気100%」を生み出した松井五郎と馬飼野康二による“ジャニーズど真ん中”楽曲であり、振り付けもジャニーズ事務所の屋良朝幸によるもので、歌詞もダンスも厚労省推奨の手洗いを取り入れている。しっかりとした手洗いで手首まで洗った方がいいことは知っていても、この曲で親指をぐるぐるWashした方がいいことを知った人も多いのではないだろうか? 正しい洗い方の認知を最も広げたのではこの「Wash Your Hands」と言っても過言ではない。

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