『Talk About Virtual Talent』第二回:飯寄雄麻
『VIRTUAFREAK』仕掛け人が語る、バーチャルタレントにとっての“場所”と“丁寧さ”の重要性
「VTuberはバーチャルではあるけど、やっぱり『人』」
――バーチャルタレントの方々のこれからについては、どんなことを期待していますか?
飯寄:2019年を通して、リアルイベントはすごく増えましたよね。ときには失敗もありましたけど、色々な人たちが頑張ったからこそあれだけリアルライブが増えたんだろうな、と僕は考えていて。でも、バーチャルアーティストのリアルライブは予算もかかるので、大規模なライブができる人は限られますし、体力勝負だとも思うんです。なので今後は、オムニバス系の企画イベントが増えると良いんじゃないかと思っています。ワンマンライブをするだけではなく、誰か別にオーガナイザーがいるブッキング系のイベントに、Vの人たちがもっと出られるようになればいいな、と。
――確かに、そういったイベントが増えると、個人勢の方々の活躍の場も広がるでしょうし、大規模なライブを目指す人たちが、ステップを踏みながら経験を積めるかもしれません。
飯寄:あとは長期的に期待することだと、VTuberはバーチャルではあるんですけど、やっぱり「人」です。周りでサポートするマネジメントが、そこを理解し大切にして活動を続けてほしいですね。というのも、マネジメントがしっかりして、アーティストとの関係値を築き上げないと、どんなにアーティスト自体が注目されても上手く続かないと思うんですよ。企業によるVTuberを起用した広告案件も増えていますが、そんなときでもアーティスト自身への理解も含めて、意味のあるものをアウトプットしていかないとV業界自体すぐに廃れると思います。
――クリエイティブコントロールをして、丁寧に活動を続けてほしい、ということですね。
飯寄:もちろん、スピード感も大事ですし、時には焦ってしまうこともあるかと思います。kzさんも、この連載の前回のインタビューで「10年でやっていたことを2年でやってる」と言っていましたけど、それだけ目まぐるしいスピードで物事が進む状況の中で、「丁寧にやる」というのは、なかなかできることではありません。でも、そのスピードを一度緩めてでも、ひとつひとつ丁寧に、意義のある面白いクリエイティブをつくっていくというのは、今後のカルチャーにとって最も大切なことなんじゃないかと思います。消費されるだけのコンテンツって、結局誰も幸せにしないじゃないですか。いちバーチャルシーンのファンとしても、「未来に繋がる価値のあることをやってほしい」と感じるので。人が持つ純粋な創造性や想いをひとつひとつ丁寧に込めた作品は、動画でも音楽でも広告でも、人を魅了する力が宿ると信じています。そのために僕も頑張り続けたいですし、業界全体がそういう意識になれば世界も変わるかな、と思っています。