ゲーム実況者“うんこちゃん=加藤純一”はなぜ人気なのか? 視聴者を巻きこむ魅力の源泉を探る

 ゲーム実況者に必要な能力とは何だろうか。トーク力? 高すぎるほどのテンション? それとも、視聴者を惹きつけるカリスマ力?

 答えはなんであれ、今挙げた全ての条件を満たすゲーム実況者がいる。"うんこちゃん"こと加藤純一だ。生放送では国内トップクラスの人気を誇る実況者の魅力の源泉は、いったいどこにあるのだろうか。

加藤純一=うんこちゃん とは?

 まずはうんこちゃんについてあまり知らない方のために、簡単に来歴を紹介しよう。

 "うんこちゃん"こと加藤純一氏がニコニコ動画への投稿を開始したのは2009年。投稿開始からブレイクまでは早く、数度の試行錯誤を繰り返した末「ポケモン6画面で一気にクリアしてやんよ」というゲーム実況動画で一躍ブレイクを果たす。

 その後、ニコニコ動画・生放送での活動を続け、数度の活動休止を挟みながらも人気を伸ばし続け、2014年にはニコニコ動画のユーザーチャンネルでの配信を開始する(注:ユーザーチャンネル=ニコニコ動画・生放送の月額課金型の有料チャンネル)。

 そして現在は活動の場をYouTubeやAbemaTVのような公式番組にまで広げ、様々な場でゲーム実況者・配信者として人気を集めている。

 代表的な動画としては、前述の『ポケモン』を6ソフト同時にプレイする「ポケモン6画面で一気にクリアしてやんよ」や、『ドラゴンクエスト』シリーズの実況などが挙げられる。なお、現在は動画投稿よりも生放送を中心に行っている。

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高すぎるテンションはもはや"狂気"

 実況者うんこちゃんの最大の特徴は、持ち前のテンションの高さだろう。動画か生放送のアーカイブを見てもらえれば説明不要だが、声を張りあげるシーンがとにかく多い。

 「ゲーム実況なんだからテンションぐらい高くて当たり前でしょ」と思った方も、1度ほかの実況者と彼の動画を聞き比べてみてほしい。マイク乗りのいい声も含めて、高いテンションから繰り出されるマシンガントークはリスナーを惹きつけて離さない。

 2015年に行った『ドラゴンクエスト7』の実況では、ポーカーのダブルアップに挑戦しハイアンドローを行う際に「(次に出るカードの数字は)低いよなあぁ? 次は高いよなぁぁ? みんなぁ? 次は低いよなぁ! 行くぞ、もうオレは誰にも止められねえぞ」とどんどんテンションを上げていき最後の最後で失敗して絶叫、というお手本のようなオチをつけてみせた。

 テンションが高いからこそリスナーも放送に乗れる。実況者の熱狂はリスナーにも伝播するのだ。

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あえて攻略サイトを見ないことで生まれる連帯感

 ポケセン縛りのような高難易度のゲームを実況する際も、彼は事前に情報を仕入れすぎない(本人は生放送内で「攻略サイトを見るのが好きじゃない」と発言している)。

 すると、リスナーは生放送中にアイテムの落ちている場所やボスの行動についてコメントでアドバイスできる。

 実況者がゲームをプレイし、リスナーはそれを見ているだけでなく知識面でサポートする。この教える/教えられる関係があるからこそリスナーは、生放送に巻きこまれる形で"参加"できるのではないだろうか。

 う彼が実況するゲームに比較的有名なタイトルが多いのも、こういった余白作りに有効に機能しているといっていいだろう(有名なゲームでなければ視聴者も適切にアドバイスできない)。

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100%本気のロールプレイ

 大抵の場合、私たちは普段ゲームを遊ぶとき「これはゲームだ」と割り切ってプレイしている。仲間のキャラクターが死んでも特に悲しんだりはしないように。

 だが、うんこちゃんは仲間のキャラクターが死ねば本気で悲しむし、逆にゲーム内で良い現象が起きれば本気で喜ぶ。実況するタイトルにRPGが多いこともあってか、心からロールプレイを楽しんでいる。

 たとえば、『ドラゴンクエスト11』の配信で、主人公が装備している"エマのおまもり(恋人の形見)"を頑なに味方に装備させようとしなかったり、『ポケットモンスター エメラルド』の縛りプレイで手に入れたラルトスを娘のように可愛がったり、まるでゲームの世界に入りこんだように実況してくれる。

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