ヒカルは“日本一のYouTuber”になれるのか 炎上騒動からグループ化まで、成り上がりの戦略を読む
「1ヶ月3000万円生活」は、彼の従来のパブリックイメージである「金持ちYouTuber」としてのヒカルとしてのパフォーマンスを生かした動画になるだろう。そしてグループ系YouTuberは「炎上」以降、彼が模索してきた道である。模索してきた道とは何か? 自身のチャンネル動画で繰り返し公言してきているのだが、ここを読んでいる人は、おそらくヒカルの動画をつぶさに視聴していないと思われるので、ざっくり説明すると、「女性ファンが欲しい」に尽きる。
もちろん、別に彼は単純にモテたいわけではなく(というか多分私生活では相応にモテモテでいらっしゃるに違いないのだが)、言い分はこうだ。「炎上」したときに、男性ファンは潮が引くように離れてしまった。「炎上」で離れていかないのは女性ファンであると。ちょっと発想がズレている気もしなくはないが(詐欺まがいのことをしたら女性ファンだって離れるし、犯罪ともなればワタナベマホトのように大量の女性ファンがいようがいまいが、謹慎は免れないだろう)、ヒカルはマジでそう考えているようだ。
「女性ファン=水溜りボンドや東海オンエアなどのグループorコンビYouTuberが大好きである」という図式により、彼の周囲にいるYouTuberの中で、屈指のイケメンである怪盗ピンキーとともに、ボーカルユニット「カル×ピン」を始動させたのは昨年のこと。
そして今年からスタートした、ヒカル、スタッフの名人、後輩のロケマサ、実兄でスタッフでもあるまえっさんで構成される、4人組グループYouTuber「新生NextStage」だが、やはりこれも先述したとおり「グループYouTuberは女性に人気がある」という動機で行っているように見える。
しかし、待って欲しい。いち女性YouTuberファン(※38歳中年女性)として物申したいのだが、グループYouTuberにおいて、1番大事なのはルックスではない。「関係性」だ。個性豊かなメンバーだからこそ、その間に様々な関係性が生まれる。そう、文脈がなければ、関係性は生まれないのだ。ヒカルと3人に関係性がないとは言わないが(付き合いは長いし、実の兄だっている)、知名度の差もありどうしても「舎弟感」が出てしまう。
人気YouTuberと無名の若者といえば、はじめしゃちょーのサブチャンネル「はじめしゃちょーの畑」があるが(というか、ヒカルの活動も「畑」に着想を得たのだと思われる)、はじめしゃちょーのコミュニケーションの仕方は、無邪気というか、登録者数日本一のYouTuberとは思えないほど頼りない面もある。だからこそ、知名度に差のある若者相手でも、そこに威圧的なものは感じられない。
しかしヒカルは、どちらかというとヤンキー的な気質の持ち主である。これが宮迫やオリエンタルラジオ・中田敦彦のような「格上」だと、慇懃無礼なヤンキーコミュニケーションもエンタメとして成立するが、「格下」相手だとどうしても威圧感が出てしまう。彼が島田紳助をリスペクトしていることもあってか、どうしても「上から下」へのコミュニケーションになってしまうのだ。「畑」が「はじめしゃちょーと愉快な仲間たち」なら、「新生ネクステージ」は「ヒカルとその舎弟」に見えてしまう。
そもそも、「NextStage」とは、以前彼が所属していたYouTuber事務所名ではあるが、単なる事務所の名前というよりは「仲間」という印象が強い。やたらめったらPS4やMacBookTwitter上でプレゼントしていただけの存在ではなく、当時ノリにのってたヒカル、ラファエル、禁断ボーイズ、かす、怪盗ピンキーの「関係性」によってファンは熱狂したのではないだろうか。