『CES 2020』が開催中 環境問題や自動車の未来など、米国で挙がる“疑問”への答えは見つかるか
アメリカ最大級の消費者向け電子機器の見本市『CES』(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)が1月7日~10日まで、米国ネバダ州ラスベガスで開催中だ。ソニーやトヨタなどの日本企業も参加し、大いに注目を集めている。
それに伴い、米経済メディア『Forbes』は「CES 2020:テクノロジー業界が答えなければならない5つの重要な質問」という特集を組み、テクノロジー分野のリーダーが、メディアやテクノロジー業界、あるいはより広く社会が直面するだろう困難な課題に、どのように対応するかについて論じている(参考:https://www.forbes.com/sites/howardhomonoff/2020/01/06/ces-2020-5-top-questions-the-tech-world-must-answer/#5be9df5855a8)。
独立系コネクテッドTVの将来はどうなるか?
記事執筆者であるデジタルメディアの専門家・Howard Homonoff氏が第一に提起しているのは、ネットとテレビが結びついたメディア=コネクテッドTV(CTV/「スマートテレビ」とも)業界の混沌についてだ。
ストリーミングは、すでに音楽業界に浸透しているように、今後TVビジネスにおいても間違いなく中心的なものになっていく。そのなかで、「SpotifyとApple Musicは爆発的に加入者が増加し、音楽ストリーミングにおいて小規模なサービスを追いやったが、最終的にTVストリーミングでも同じことが起こるのかだろうか」と、同記事は問いかけている。
CTV市場においては少し前に、Pluto、Xumo、Tubi、Philo、 Fubo、さらにCTVデバイスプラットフォームであるRokuといった新規参入があった。しかし、PlutoはViacomが買収し、XumoはComcastの買収ターゲットであると噂され、Tubiにも度々買収の話が持ち上がっている状況だ。
その後、CTV業界には、大手のDisney +、HBO Max、NBCUniversalのPeacock、CBS All Accessがサービス提供を開始し、既存のNetflix、Hulu、Amazonもさらに規模を拡大している。最近のeMarketerの報告によると、YouTube、Hulu、Rokuだけで、2019年のCTV広告の70%以上を占めた。新興CTVはこれらの巨人からパイを奪う必要があり、差別化したサービスを提供し、メディアコングロマリットに吸収されることなく事業を継続できるか、注目されるところだ。
テクノロジー大手は気候変動問題の解決にどう取り組む?
調査によると、Netflixだけで世界中のインターネット・ダウンストリームの12.6%を占めているそうだが、メディアへのアクセスは、ビデオストリーミングサービスが増えることでさらに増大するだろう。クラウドテクノロジーへの依存度が高まれば、それだけ膨大なエネルギーが要求され、環境への影響も否定できないと、同記事は指摘している。
今日のデータセンターは世界の電力の約2%を消費しているが、最近の調査によると、これは2030年までに4倍の8%になると予想されている。中国だけでも、データセンターの二酸化炭素排出量は2018年から2023年の間に「3分の2増加」(two-thirds more)すると示されており、テクノロジー業界をリードするAmazon、Google等が、クラウド運用の効率を高めることは、今後数年間で、ますます重要になるだろう。環境への影響を意識した取り組みは、「CES 2020」でどの程度取り上げられるだろうか。
「スマートホーム」のメリットをスマートにプレゼンできる?
スマートスピーカーだけでなく、照明器具、家電製品など、IoT(モノのインターネット)に接続されるデバイスが限りなく多くなった現在。生活は豊かになっているが、一方で「個人情報は誰に送られ、どのように使われているのか」といった疑問は拭えない。
これらの懸念を解決し、スマートホームのメリットを“スマート”にプレゼンできる企業やキーパーソンは、果たして登場するだろうか。これも「CES 2020」の注目点と言えるだろう。