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テクノロジーは音楽の“見せ方”をどう変える? 2nd Functionクリエイター座談会

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 8月に表参道 B SPACEで開催された体験型アート展『DOLLHOUSE』や、世界最大規模の家電見本市『CES 2018』に出展した“2025年のライブ体験”「ACRONS」、『MUTEK.JP 2018』で“二脚の椅子を用いた”AR作品『I\I I I\I IE feat. FAMM’IN』を発表するなど、音楽を主体とした数々の「エンターテック」(エンタメ×テクノロジー)を手がけるクリエイティブ集団・2nd Function。

 前回の対談【エイベックスの“ファントム組織”キーマンとジェイ・コウガミが語り合う 音楽とテクノロジーはどう共栄すべきか?】では、エイベックスの“ファントム(幻影)組織”である彼らの成り立ちなどについて話を聞いたが、今回は2nd Functionのスタッフに加え、彼らのクリエイティブに参加している株式会社映像センターの佐藤知之氏、映像プロデューサーの武田光平氏と福澤恭氏(BRDG/VRDG)、ライティングアーティストのYAMACHANG氏、エンジニアの藤城英樹氏(ZEROUNIT)といった面々に集まってもらい、それぞれの分野が越境することによって生まれたものや、テクノロジーを駆使したエンタメの作り方などについて、じっくりと話を聞いた。(編集部)

精鋭クリエイターたちの“出会い”

左奥からエンジニアの藤城英樹氏(ZEROUNIT)、株式会社映像センターの佐藤知之氏、映像プロデューサーの福澤恭氏(BRDG/VRDG)

ーーメディアアーティストやエンジニア、ディレクターなど、様々な職種の方に集まっていただいてますが、まずは2nd Function (エイベックス内のクリエイティヴ・レーベル/スタッフは全て匿名で参加)との取り組みにおける皆さんの役割と、関わった経緯について伺えればと思います。

2nd Function(以下、2ndF):まず大前提として、ここにいる株式会社映像センター(以下、AVC)の佐藤知之さんから繋いでいただいている方が多いんですよ。僕自身は、3年前のライブ産業展でエキシビジョンとしてショーケースをやることになったことがきっかけですね。その時は「Linx」というLEDパネルを使用した「animus」という作品をつくりました。

佐藤知之(以下、佐藤):その時のショーケースは3チームにお願いしたんですが、そのうちの1チームが中前さんだったんですよ。「Linx」は“フレキシブルに曲がる”ので、それで覆うようにした形の巨大セットをつくって、そこで自由にパフォーマンスをしていただくというもので。

2ndF:佐藤さんが仕切ると、いつも自由度が高いんですよ。しかも、クリエイターとしては使えることがすごくありがたい装置が毎回用意されていて。ただ、この人の悪いところは、3チーム入れて競わせようとするところなんですけど(笑)。まあ、お互いに競ってる感じもないので、切磋琢磨できてるのかなと。で、その時に武田(光平)さんと福澤(恭)さんにオファーさせてもらって、モーションキャプチャーを使ったARコンテンツを作ったら、イギリスの『Dazed & Confused』というメディアのプレミア・コンテンツになったんですよ。そこから、何かことあるたびに集まったり、僕がMVを撮る時に佐藤さんへ相談を持ちかけて、映像におけるテクノロジーのオーガナイザー兼アドバイザーみたいな感じで入っていただいて。そうするうちに、佐藤さんから「レーザーは絶対にYAMACHANGにやってもらったほうがいい」「藤城さんっていう凄腕のエンジニアがいますよ」という風にご紹介いただいて。

映像プロデューサーの武田光平氏(左)とライティングアーティストのYAMACHANG氏(右)

ーーなるほど。はじめは中前さん・武田さん・福澤さん・佐藤さんの4人から始まり、佐藤さんを介してYAMACHANGさんと藤城さんが加わったと。佐藤さんの役割については、お話を聞く限りは、まとめ役的なところなのかなと思ったんですが。

佐藤:そうですね。どちらかといえば仕事柄いろんなクリエイターさんと繋がってることもあり、テクニカルをまとめる方が多いです。

2ndF:佐藤さんは本来映像機器のレンタルをやっている会社の課長なんですけど、貸し出す会社に対してコンサルティングみたいなこともやっていて。その比重が大きくなりすぎてクリエイターに近い発想もしてくれる方なんです。

佐藤:会社の倉庫を使って実験もさせてもらったりと、環境があるからできることも多いんですけどね。藤城さんは10年くらい前から知ってるんですが、なかなかお仕事をお願いできる機会もなかったので、良いチャンスだと思って。今年の1月にあった『CES 2018』(以下、CES)のタイミングから巻き込ませてもらいました(笑)。

藤城:最初の一言が「藤城さん、ラスベガス行きませんか?」だったんですよ(笑)。僕はもともとシステムの構築とかソフトウェアのプログラミングをやっていて、ハード・ソフト面から「こうしたい」という内容を実現する役割です。これまでは完成させたものをお客さんに納品するとか、あらかじめテストしたもの・できたものを納めるという形式が多かったんですけど、2nd Functionは現場で調整したり作ったりということが大半なので、経験してないことが多くて面白いなと思っています。

2ndF:『CES』では藤城さんに映像や照明などを一括制御するコントローラーを作っていただいたんです。でも、見た目が爆弾に近くなっちゃって(笑)。でも、その時には渡航の数日前で、後の祭り。これを持って入国できるのか? そもそも、飛行機に持ち込めるのか? とヒヤヒヤしましたが、どうにか入国させてもらいました。

佐藤:演者が喋る内容に対して、十数台のメディアサーバーを同時に走らせ、レーザーと照明にもキューを送ってと、手動でやるのはなかなかに難しい物量だったので、藤城さんの力がなければ厳しかったかもしれません。あと、面白いのが、最近ではUnityとかOpen Flame WorksとかTouch Designerとかを使ってやる人が多いんですけど、藤城さんはそういうのを全く使わずにゼロからプログラムを書き出して、それに合わせたソフトもすぐに作ってしまいます。

2ndF:この間、高速追従のプロジェクションマッピングの『i_to』というものを作ったんですけど、モーションキャプチャーしたデータをレーザーと同期させるプログラムは藤城さんにつくってもらいました。で、そのアイデアを一緒に出してくれたのがYAMACHANGさんで。

佐藤:YAMACHANGは僕が現場で知り合ったんですが、あるフェスで海外のレーザー・アーティストを圧倒するくらいのパフォーマンスを見せていて。

YAMACHANG:僕がこのチームに加わったのも今年の『CES』からなんですけど、これまでは、クラブやライブハウスとかフェスで照明・レーザーを担当することが多かったです。ただ、最近はレーザーをやる上で映像が付いてくるものが多かったりしているので、レーザーと映像をどうやって空間に馴染ませるのかというのをずっとやってるんですけど、そこで佐藤さんと知り合って、映像を空間にどんどん拡張していくことを学びました。このプロジェクトでは皆が色んなイメージを持っていて、その枠を広げていくなかで、抽象的な照明というものを使って、受け手と作り手の間にあるものを埋めていく役割でもあるのかなと。

佐藤:でも、このチームで一番やってるのはYAMACHANGが考えた『i_to』だから。

YAMACHANG氏

:思いついたら積極的に提案する癖があるんですよね。『i_to』も『CES』のときに「こんな感じでレーザーを使って可変的にトラッキングできますよ」という話をして、採用してもらったんです。実現するにはある機材が必要だったんですけど、当時日本には入ってきていなくて。でも、CESプロジェクトから半年かけて代理店にお願いしていたら特別にデモ機を取り寄せてくれて、それなら大丈夫かと思って提案したんです。

ーーなるほど。武田さんについてはどうでしょう?

武田:10年くらい前に、映像プロデューサーとして2nd Functionさんと知り合っていたんですけど、当時はFACTやFEMM、ここ数年は、安室奈美恵さんの作品を担当させてもらっていて。ただ、『animus』くらいから映像だけじゃなくてリアルタイムで体験していくコンテンツが増えてきて。その辺りから予算やスケジュール、スタッフィングなどの細かい部分を担当させていただいています。

2ndF:でも、実際クリエイティブにも関わってくれていて。例えば『CES』であれば、本来なら映像を納品すれば武田さんの仕事は終わりなんですけど、徐々にジオラマ部分は美術なんだから担当してほしいとか、映像プロデューサーとして関わってもらいつつ、もう何をプロデュースするか明言化できないくらいになっていて。役職とか役割というのは、社会とか会社とかが決めるものじゃないんだなって改めて思いましたね。僕自身も、はじめは音楽ディレクターだったのに、武田さんがきっかけで映像作家になったんですよ。

ーーえっ、そうなんですか。

2ndF:あまり多くない予算感で、やりたいことを詰め込んで武田さんに送ったんですよ。そうしたら「無理ですけど、2ndFunctionさんが撮るならできるんじゃないんですか?」と言われて。

武田:ヤケクソでもなんでもなくて、普通の音楽ディレクターよりも指示が詳細でしたし、最終的なイメージも見えていたようなので。

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