嵐が2020年に見せてくれるもの 『ARASHI's Diary -Voyage-』で赤裸々に映し出された“葛藤”を見て
そして、迎えた活動休止発表。会見時の彼らは終始とても和やかで「これぞ嵐」といった雰囲気だった。だが、そこに至るまでには、想像以上にシビアな話し合いがあったことが明かされる。休止なのか、解体なのか……どのパターンでいくかを書き出す櫻井翔の手は震え、机を叩いて怒鳴ったこともあったという。松本潤は、自分の手で愛するものを殺す感覚と、刺激の強い言葉で語る。それも、彼らにとって“嵐”であることが、人生の主軸になっているからこそ。
10代の少年だった5人は、いまや35歳を超えた大人に。それぞれが主張をしていては、ひとつになることは難しい。だから、「調整していくしかない」と櫻井は語る。個別インタビューの様子を見ても、この1年を「燃え尽きるまでやる」と意気込むメンバーもいれば、「燃え尽き症候群になったら戻ってこられなくなる」と口にするメンバーも。そんな5人5色の個性があればこそ嵐だと思う一方で、改めて20年という長い期間、仲の良いグループとして継続してこられたのは、彼らの高い“調整力”の賜物なのだと実感する。そして、今回の活動休止という決断も、“嵐”というグループ人格を生かし続けようと願っての調整策であるということも。
人気アイドルグループが活動休止までの1年間をリアルタイムで記録していくのは、これまでも類を見ない試み。この嵐の足跡が今後、長く活動していくアイドルグループたちの、そして応援するファンたちの新たな道しるべになるに違いない。さらに、それはアイドルグループに限らず、個と共同体との間に発生する誰もが経験するであろう、さまざまな課題にも通じるものがあるように思えてくる。いかに私たちは他者とつながり、そして調整して生きていくのか。そのためにはシビアな話し合いを繰り返してでも、策を見出す努力が求められるということ。嵐が2020年に見せてくれるのは、仲良しの先にある、人と共に生きていく調整力の重要性なのかもしれない。
(文=佐藤結衣)
■配信情報
Netflixオリジナルドキュメンタリーシリーズ『ARASHI’s Diary -Voyage-』
12月31日(火)より、Netflixにて全世界独占配信
全20話以上(※毎月不定期配信予定)
出演:相葉雅紀、松本潤、二宮和也、大野智、櫻井翔
演出:原田陽介
エグゼクティブ・プロデューサー:藤島ジュリーK.、坂本和隆(Netflixコンテンツ・アクイジション部門ディレクター)
字幕言語:アラビア語、中国語:繁体字、中国語:簡体字、デンマーク語、オランダ語、英語、フィンランド語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、韓国語、ノルウェー語、ブラジルポルトガル語、ポルトガル語、スペイン語、カスティリアンスペイン語、スウェーデン語、ポーランド語、トルコ語、ベトナム語、タイ語、ヘブライ語、ルーマニア語、ギリシャ語、インドネシア語、ロシア語、チェコ語、ハンガリー語