『恋ステ』は映画『君の名は。』から構想を得た AbemaTV恋リア制作責任者鼎談【前編】
「AbemaTVの恋リアを高校生全員に見てもらいたい」
ーーでは『オオカミ』シリーズは、初めから出演者は著名人と決められていたのでしょうか?
杉山:はい、そうですね。
翁長:『今日好き』の出演者は、“学校にファンクラブがある子”のようなイメージがありつつも、恋愛への本気度を最も大切にしています。2泊3日で撮影を行うので、オーディションでは「本当に恋愛したいのか?」ということを何度も確認していますね。いままで400人くらいの高校生たちをオーディションで見てきたので、恋愛へのモチベーションを高く持ってやってくれるかどうかが、オーディション時にわかるようになってきました。恋愛をしたい気持ちが強い子は、番組としても出演してもらいたいと思っています。
ーー毎回キラキラした美男美女が集まるので、驚きます。
翁長:最近、男子も美意識が高くなっている気がします。AbemaTVでは、もう3年以上ティーン向けの恋リアをやってきていますが、ありがたいことに高校生の中で徐々に根付いてきているようで、AbemaTVの恋リアに出るためにはどうしたら良いんだろうと、出演希望者本人たちが意欲的に考えてくれていて、オーディション参加者の質が上がってきているような印象がありますね。
ーー『今日好き』と『恋ステ』は、なぜ出演者が高校生限定なのでしょうか?
翁長:もともとは、高校生の恋愛リアリティーショーがなかったので始めたのですが、番組制作を通して思ったのは、高校生が世の中の現象を生む根幹の部分を担っているのではないかということです。高校生と接していると、流行を生み出す力をすごく感じます。高校生という“群”の中で生きているからこそ、繋がり拡散していく力が強いのかなと。インフルエンスの能力がとにかく高いんです。そういった彼らの力もあってしっかりと波及されて、高校生の間で “AbemaTVの恋リア”という流行を作り出し始められたのかなと。
若村:リアルな恋愛を届けようとしたときに、高校生だと画が爽やかなんですよね。手を繋ぐだけでもキュンとなるし、ハグしたらもう最高! のような。高校生の恋愛って、エグさがなくて、本当に純粋だなと思って。だから、大人が見ても安心して楽しめるというか、過ぎた青春を思い出させてくれるんです。それも高校生を主人公とした番組ならではの価値だなと、個人的には思っています。
ーー『恋ステ』の男女の地域の組み合わせは、どうやって選ばれているのでしょうか?
若村:前シーズンと被らないようにくらいしか決まりはないのですが、正直、各地方で3~4人ずつイケメンと美女を集めるのは、とても大変なんです。今回は博多で集まったから舞台は博多にしようとか、そういった感じで進めています。
ーー『恋ステ』はこれまで2本で1話でしたが、『恋する♥週末ホームステイ 2019・秋「約束」』からは“センバツ”制度が導入されて、1話1本に変更になりましたよね。
若村:理由は2つあって、一つはキャスティングの面です。1シーズン毎に、4つの地域で4人ずつ、合計男女16人集めなきゃいけないことに、限界を感じていました。 “全国センバツ”という形にしたのは、何よりもまずは視野を広げて珠玉の8人を選び、質を高めていくことが大切だと考えたんです。
もう一つは、高校生の視聴時間を改めて見直したときに、1時間という尺に疑問を感じたからです。私たち大人の1時間と高校生の1時間の感覚って、結構違うんじゃないかなって。YouTubeなどの動画は大体1本15分くらいじゃないですか? それに慣れている10代が1時間ずっと画面に張り付いて見てくれるのかな? と考えたときに、やっぱり30分くらいが妥当なんじゃないかという結論に至ったんです。
ーー新しい試みというと、なぜ番組からLilacというバンドを生み出したのでしょうか?
若村:スピンオフでLilacのドキュメンタリーを配信しているのは、AbemaTVの恋リアに興味を持ってもらう入口になるのではと考えたからです。「恋愛リアリティーショー」と打ち出したときに、それだけは絶対に見ないと敬遠する高校生が一定数はいると思うんですよね。特に恋愛に興味がない男子高校生とかは、「俺らの見る番組じゃない」とシャットダウンしてしまっている可能性があるので、そこの層をバンドというアプローチで視聴するきっかけにできないかなと。AbemaTVの恋リアを高校生全員に見てもらいたいとなったときに、恋愛以外の切り口でどうにかきっかけを作れないかというチャレンジです。
(取材・文・写真=戸塚安友奈)