ハイレゾストリーミングサービスは5G時代でさらなる展開へ? スタッフ&有識者に聞いてみた

ハイレゾストリーミングサービスは5G時代でさらなる展開へ? スタッフ&有識者に聞いてみた

 海外では『TIDAL』や『Qobuz』などのハイレゾストリーミングサービスが先行して立ち上がっていたり、日本でも『Amazon Music HD』がローンチされるなど、音楽リスナーが待ち望んでいた”高音質ストリーミングでの楽曲聴取”はいよいよ広がりをみせている。そんななかでハイレゾ対応ストリーミング音楽配信サービス『mora qualitas(モーラ クオリタス)』が11月25日にサービスを開始した。

 『mora』は2013年よりハイレゾ音源のダウンロードサービスを開始するなど、国内でも先んじて高音質化について取りくんできた企業。今回のサービス立ち上げにあたって、どのようなビジョンを見据えているのか、ソニー・ミュージックエンタテインメント mora qualitas事業グループの黒澤拓氏へのメールインタビューをもとに、同サービスを掘り下げていきたい。

 黒澤氏は同サービスが「アーティストが楽曲に込めたものをありのままにお届けしたい」という基本理念に則ったものであり、「インフラの制約などもあり圧縮せざるを得なかったこれまでのデジタル音楽配信において、ハイレゾダウンロードが広がるにつれ、対応DAPやヘッドホンをはじめ、対応ハードも増え、現在では視聴環境もかなり整備されてきています。ハイレゾ黎明期はPCでのみ再生環境がないなど制約もありましたが、今ではスマートフォンでハイレゾを持ち出し手軽に再生できるまでになりました」と、環境が大きく変わったことで、潜在的なユーザーが増え続けていることを指摘した。

 ハイレゾ音源はビットレートが高いこともありファイル容量が大きく、その普及拡大にはさらなるインフラの発展・発達が欠かせないが、これについては「5G時代も間近となった今、我々としては来るべき時代においても引き続き、より良い音で音楽をお楽しみいただける環境を用意しておきたいと考えました」と、5Gの実装もローンチタイミングを決める大きな要素であったことを明かした。

 黒澤氏は「これまで、お客様とともにハイレゾダウンロードの市場を作り上げてきたという経験は大きな強み」としたが、たしかに他のアプリやシステムプロセスにオーディオ出力を妨げられない「Hog Mode(排他モード)」などのような機能も実装するなど、経験値が積み上がっているからこそ実装できる機能があるのは頼もしい。ほかにも、『mora qualitas』の機能面に応じたオーディオファンへのアプローチを引き続き行ったり、「ハイレゾというキーワードは聞いたことがあっても、まだ実際に試したことがない音楽ファンへ、ストリーミングを採ることでさらに利用のハードルを下げ、是非利用のきっかけとしていただけたら」という思いがあるようだ。

 続いて、これらの意見を受け、デジタル音楽ジャーナリストのジェイ・コウガミ氏に聞いてみたところ、ハイレゾストリーミングの需要については、下記のような回答があった。

「従来の音楽好きがストリーミングを使っているが音質の良いものを欲しがって、付加価値としてハイレゾ対応のサブスクリプションに入る人と、元々の楽曲・楽器の音を知っている音楽好きで、音楽を構成する要素についてもっと詳しく聴きたい人が、潜在的なユーザーとして存在すると思います。これからはハイレゾだけでなくCDも知らない、聴いたこともない、ストリーミングネイティブな世代が登場してくるため、普段聴いているものよりも音が良いものに惹かれるのは必然でしょう。また、CDやアナログで音楽を楽しんでいるオーディオ好きにとっても有用なものです。既存のフィジカルメディアと競合するわけでもなく、定額制でカタログのなかから好きな/盤では持っていない音源を聴けるため、今後はそういったユーザーにも欠かせないサービスになるかもしれません」

 また、同氏は「イヤホンやヘッドホンの音質が進化していることも、追い風になるのではないか」と補足する。

「新たなイヤホンやヘッドフォンを使う人も増えてくるので、手元で聴くことの需要も高まっていくと思います。普及当初のハイレゾはスピーカーやオーディオシステムが必要でしたが、現在はスマホとイヤホンで実現可能になりましたし、安価なものも登場し始めたので、そういった方々がエントリーするハイレゾ聴取の入り口として、『mora qualitas』が使われる可能性が高まっていきそうです。“イヤホンでしか音楽を聴かない人にとって楽しめるハイレゾ”が求められるなかで、ストリーミングであることは大きな優位性を持つのではないでしょうか」

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