DATSやyahyelなどのドラマー・大井一彌が語る、“出来ないことを捨てて得意なことを極める”重要性

大井一彌が語る、“得意なことを極める”重要性

 いま注目すべきアーティストが愛用する“音楽機材”に焦点を当てた連載・黒田隆憲の「アーティストが愛する音楽機材」。第一回目となる今回は、ドラマーの大井一彌にインタビューを行った。(編集部)

 DATSやyahyelの主要メンバーであり、セッションドラマーとしてもDAOKOや踊Foot Worksなど、ジャンルを問わず様々な現場で活躍する大井一彌。生ドラムに電子楽器をミックスしたハイブリッドなドラムサウンドと、寸分の狂いもない端整かつグルーヴィーなプレイによって日本のインディーズシーンを揺さぶり続ける稀有な存在だ。リスナーとしても貪欲で、ロックやジャズ、ソウル、現代音楽まで幅広く網羅し、自らのプレイスタイルに落とし込む。そのセンスは一体どこから来ているのだろうか。彼のルーツやプレイスタイルを確立するまでの経緯、そして気になる使用機材について聞いた貴重なインタビューをお届けする。(黒田隆憲)

「LADBREAKSは、“原点回帰する場所”」

ーー今、大井さんがパーマネントで所属しているバンドはDATSとyahyelの2つですか?

大井一彌(以下、大井):あと、最近は東京ザヴィヌルバッハの坪口昌恭(Key)と、中村佳穂BANDや石若駿 SONGBOOK PROJECTなどで活動している西田修大(Gt)の3人で、Ortanceというバンドを始めました。それからLADBREAKSという、South Penguinのニカホヨシオ(Key)とDATSの吉田巧(Gt)、yahyelの篠田ミル(Ba)と昔やっていたバンドが名前だけ残っています(笑)。ひたすらブルースセッションをしていたバンドですね。たまに集まって音を出して……という、“原点回帰する場所”として機能しています。

「様々なバンドで自分の可能性を試してみたい」

ーーもともとは、バンドを組むよりセッションプレイヤーになりたいという気持ちの方が強かったそうですね。

大井:AORが好きで、1980年代のLAのスタジオミュージシャン集団、たとえばStuffやTOTOの面々がメチャメチャ好きだった時期があって。「好きなアルバムのクレジット見ると、全部同じドラマーだった」みたいなのに憧れていたんですよね。<MOTOWN>とかもそうだと思うんですけど。

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ーーThe Section(ダニー・クーチマー、リーランド・スカラー、ラス・カンケル、クレイグ・ダーギー)や、ティン・パン・アレー(細野晴臣、鈴木茂、林立夫、松任谷正隆)などもそうですよね。

大井:スタジオミュージシャンが結成したバックバンドが、才能のあるシンガーをガチッと支えて魅力を最大限引き出している、みたいな。そういう世界観がすごく好きだったので、自分もその一人になりたいと思っていたんです。バンドを組むにしても、一つのグループに全力を注ぐというよりは、様々なバンドで自分の可能性を試してみたいというか。

「何をするにしたって“出来ないことの連続”」

ーードラムに目覚めたのは中学3年生の時だったとか。

大井:はい。小、中学生の頃は卓球を、それこそクラブチームに入ってプロを目指すくらいの勢いでやっていました(笑)。でも、いつしかそれが冷めてしまい、ギターを始めていた幼馴染に誘われてドラムを触ってみたら、見事にハマったんですよね。まあ“ありがち”な展開なんですけど、触った瞬間からエイトビートが叩けたので、「これは才能あるぞ」と(笑)。

ーー(笑)。音楽自体はその頃から好きだったんですか?

大井:親父がジャズ好きで、ギターとトランペットを趣味でやってたんです。だから、小さい頃からジャズファンクやソウル、R&Bを聴いていました。

ーードラムって、練習場所も限られているし場所も取るしで、他の楽器と比べてハードルが高いイメージがあるんですよね。

大井:僕もフルセットを手に入れたのは、3年前なんですよ。TAMAとエンドースメント契約になって、作っていただいた今のキットが初めてで。それまでは、中古楽器屋とかで揃えたゴチャ混ぜのキットを使っていました。自宅には練習用にエレドラを置いて、高校生になると部室で練習して、音大に入ってからは練習室にずっとこもっていましたね。

ーーいきなりエイトビートが叩けて、その後も順調にレベルアップしていきましたか?

大井:そんなことはないです。何をするにしたって“出来ないことの連続”だと思うんですよ。自分が出来ることと、出来ないことの“差”に向き合い、そこを詰めていくためにひたすら練習するしかない。たとえば、習得したいワザやリック(フレーズ)があれば、それと今自分が出来る演奏との間にどういう違いがあるのかを見極めるというか。紙に書いてみたり、何度も音を聴いてみたり。

 あと、これは日本人にありがちなことですが、いろんなスタイルを満遍なく身につけても、結局は“誰でもない人”みたいになっちゃうケースが多いと思うんですよ。それよりは、出来ないことをバッサリ捨てて、得意なことをさらに極めるということを早い段階からやっておくと、ものすごく成長が早いと思います。

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