マクロス「VF-1バルキリー」のプラモが巨大すぎて笑える! 初心者でも楽しめる組み立て風景をレポ

マクロス「バルキリー」の巨大プラモがスゴい

 唐突な質問だが、プラモデルといえば何人で作るものというイメージだろうか。大体、「プラモデルを作っている人」と言われて想像するビジュアルというと、大量の道具や材料がそろった机の前に座ったおじさんが一人で黙々と作っている……という感じだと思う。しかし、マックスファクトリーから来年3月に発売予定の「PLAMAX MF-45 minimum factory VF-1 ファイター バルキリー」に関してはちょっと違う。このプラモについては、人間を集めてギャーギャー騒ぎながらほぼ素手で作るのを是非ともオススメしたい。

 言うまでもないことかもしれないが、VF-1バルキリーは『超時空要塞マクロス』に登場する可変戦闘機である。戦闘機なので、当然ながら車とかよりずっとデカい。そしてこのプラモのスケールは1/20。人間の大きさが大体8~9センチくらいになるサイズ感だ。そのスケールで戦闘機みたいな大きさのものを割ると、全長約70㎝超、横幅も大体そのくらいというサイズになる。初孫くらいの大きさである。

「VF-1 ファイター バルキリー」(C)1984 BIGWEST

 そのくらいデカいキットなので(当然一人で作ってもいいけど)人間を数人集めて作ればなんとなく文化祭っぽいイベント感が出てくるはず。しかも都合がいいことに、このキットは大体「機首」「胴体」「左右エンジン(バルキリーが変形した後に脚になる部分)」「ガンポッドと胴体の下面(変形した後に腕になる部分)」という感じにざっくり分かれており、それぞれを組み立てて最後にくっつける方式となっている。ということは、集まった人間に作る部分を割り振って分業で組み立てることができるのだ。ほとんどパーティーグッズである。

 というわけで、今回はリアルサウンド編集部の戸塚さんと橋川さん、そしておれという布陣で、クソデカいプラモを勢いだけで作ってみる会を開催した。ちなみにリアルサウンド編集部のお二人はプラモデルに関しては全く知識もスキルもなく、戸塚さんに至ってはこれが初めてのプラモデルという状況である。そして会場となる会議室は、バルキリー後の予定が決まっているのでタイムリミットもある。やれんのか、これ……?

 それでは試合開始。時刻は14時30分、用意するのは人数分のニッパー、そして流し込みタイプと通常タイプの2種類の接着剤である。こういう会を開催したい人のために書いておくと、ニッパーは高級なものを用意する必要なし。むしろ安いやつとか、散々使って多少刃こぼれしているようなものを人数分用意することをお勧めする。そして流し込み接着剤、これはできれば複数個持っていったほうがいい。そうでないと「流し込み接着剤が全員から引っ張りだこの人気者になる」という変わった光景を目にすることになる。ちなみに塗装することは全然考えていない。「とりあえず部品をベタベタくっつけて大きい飛行機ができたらウケる」という気持ちに正直になった結果である。

 まず袋から部品を取り出す。まるで食器かカブトガニか。巨大な部品が極太のランナー(部品がくっついてる枠状の部分)にくっついてゴロゴロ出てくる光景にまず爆笑。なんなのこれ。わかんない……。なんかぷよぷよの「ぷよ」みたいな部品も出てくるし、コンセントみたいな部品もあるし、着陸脚なんか脚ごと一発ズドンと成形されている。部品ひとつひとつのサイズがなんだかおかしい。「巨大なプラモデル」は出てくるだけで人間を笑わすことができるのである。と思いきや、表面には妙に生真面目にリベットのモールドが打ってあったりして、1/20スケールなりの情報量も。なんなのこのプラモ……。

 それでは組み立て開始……と思いきや、部品をいきなり手で引きちぎりだす戸塚さん。「いやいやそこはニッパーで……」と言おうとしたのだが、これだけ部品が巨大だと部品をランナーから手で引きちぎっても部品の方が全然耐える。おれもやってみたが、このキットはゲート(ランナーと部品がつながっている一段細くなった部分)が極太なのでニッパーで切りにくいところもあり、グイグイ曲げて無理矢理引きちぎる方法は案外有効。ニッパーの刃が負ける部分も、人間の腕力なら立ち向かうことができるし、勝つこともできる。さながら人とプラモデルの殴り合いである。ちなみに一応断っておくと、引きちぎった部分は軽くニッパーで整えておいた。そうしないと部品がはまらない箇所もあるので要注意である。
 前述のように、戸塚さんはプラモデル自体を作ったことがない。というわけで流し込み接着剤で部品を貼り付けるのも初めてである。無色透明な液体を部品の隙間にさっと流すと、パーツががっちり固まる。プラモデルを触り慣れている人間なら大して感動もないようなことに「接着剤って部品くっついてスゲ~!」「なんか部品がきっちり収まってスゲ~!」と、立派なリアクションを返してくれる。そうだよな、部品がきっちり収まって接着剤を塗ると固まるのってすごいよな……。プリミティブな「部品がくっつくとなんかウケる」という気持ちがここにある。忘れがちだけど、部品と部品がくっつくと面白いのだ。
 このキットはキャノピーの透明部品と窓枠の部品が別になっているのでめんどくさい窓部分のマスキングをする必要がない(飛行機のプラモデルは大体窓と窓枠が全部透明な部品で一発で成形されているので、塗装するために窓の部分にマスキングテープを貼る作業が必要なのである)。なので窓の部分を窓枠に接着する必要があるのだが、透明部品は接着するのが難しいので有名。接着剤がはみ出すと部品が白く濁ってしまい、なんか残念な感じになってしまうのだ。ここも戸塚さんにトライしてもらったら多少はみ出したのだが、キャノピー自体が巨大すぎてはみ出した部分が全然目立たない。1/72の飛行機キットなら即死、「さ~てキットもう一個買ってくるか!」レベルのはみ出しでも、マジで全然目立たないのである。これにはさすがにちょっと驚いた。キットがデカいと「デカすぎて細かいミスが割とどうでもよく見える」という効果があるのだ。他のミスもこれと同様、引いて見るとちっとも目立たない。プラモを作り慣れていない人はデカいキットから作るべしというメソッド、充分アリだと思う。
 そんなこんなで作業開始から2時間半あまり、なんとなく各部のパーツができあがってきた。分担して作ったからというのももちろんあるけれど、この大きさの飛行機のプラモデルができあがる速度としてはかなり早い。各部の分割がかなり大ぶり、さらに左右割り、上下割りの主要パーツに挟み込む部品が少ないのだ。なので工程数が少なく、作っている方としては「デカい部品をバンバンくっつけてるとなんとなくバルキリーの胴体ができている」みたいな感覚である。さすがにリアルサウンド編集部は仕事中だったので控えたものの、作業の雰囲気としては酒を飲みながらでも全然やれそうだ。本当は飲みたかった。そしてとにかく部品がでかいので、ちょっと机から落っことした時の音がプラモデルのパーツとは思えないほどの大音響(マジで「パキャアアアアン!」という、皿でも落としたみたいな音がする)である。あんな音がするプラモ、初めて見た……。

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