『ポケモン ソード・シールド』海外での評価は? 賞賛多数だが開発経緯への非難も

『ポケモン剣盾』海外での評価は?

 11月15日、ポケットモンスターシリーズ最新作『ポケットモンスター ソード』と『ポケットモンスター シールド』(ふたつ合わせた略称は「ポケモン剣盾」)がリリースされる。Nintendo Switch対応の完全新作ということで期待値が高まっていたのだが、海外メディアはおおむね好意的なレビューを公開している。その一方で、開発経緯をめぐって抗議活動が起こっているのも事実だ。

新世代ゲーム機に相応しいボリューム感

 「ポケモン剣盾」の基本システムは、シリーズの伝統を受け継いでプレイヤーがポケモンを捕まえて鍛える、というものだ。一方で先行シリーズタイトルと一線を画している点は、Switchという新世代ゲーム機の性能を最大限に生かしたグラフィックとボリューム感だ。

 同タイトルのグラフィックとボリューム感を堪能するのにもっとも適しているのが、今回のゲームの舞台となるガラル地方のエリアのひとつ「ワイルドエリア」だ。このエリアは広大なオープンワールドとなっており、プレイヤーは自由に散策することができる。天気の変化もあり、天気や場所によって見つけられるポケモンが変わる。こうした設定により、何度訪れても新鮮なプレイ体験が味わえるのだ。

 バトルシステムにおいて特筆すべきなのが、「マックスレイドバトル」である。ガラル地方の特定の地域には巨大化したポケモン「ダイマックスポケモン」が棲息しており、この巨大ポケモンと4人のトレーナーと協力して戦うことができる。マックスレイドバトル時にはプレイヤーのポケモンも巨大化させることができるので、巨大ポケモンどうしが戦うという迫力のあるシーンを体験できる。

 そのほかの新機能については、公式サイトと紹介動画にまとまっている(以下の動画参照)。

Youtube「【公式】『ポケットモンスター ソード・シールド』 紹介映像」

受け継がれた遺産と切り開かれた未来

 「ポケモン剣盾」のリリース前に先行レビューを公開した海外メディアは、おおむね高評価を与えている。そうしたレビューの一部を以下に抜粋する。

・「ポケモン剣盾は(据え置き型と携帯型の両方でプレイできる)ハイブリッドなSwitchでプレイするのに理想的なゲームと言える...据え置き状態でプレイしている時は(グラフィックが)素晴らしく見え、ポケモンシリーズの魅力のカギとなっている携帯できるという柔軟性を失っていない」「このタイトルはポケットモンスター・フランチャイズが20年以上にわたって築いてきたものの上に成り立っている」(テック系メディア『The Verge』

・「ポケモン剣盾はポケットモンスターシリーズへの愛にあふれている。そうした愛は愛すべきキャラクター、ビジュアルとインタラクションの両方において詳細に作りこまれたガラル地方に対する開発者の申し分のない思い入れに見られる」(ゲームメディア『gamesradar+』

・「ポケモン剣盾は素晴らしいポケモンのゲームだ。(ポケットモンスターシリーズの伝統を受け継がなければならないという)自らに課された制限を押し広げつつ、ポケットモンスター・フランチャイズのために新しい道を切り開いている」(エンタメ系メディア『comicbook』

Dexitの果ての#Gamefreaklied

 「ポケモン剣盾」は内容は高評価な反面、その開発経緯をめぐって一部のファンから非難を浴びている。同タイトルはSwitch完全新作となるに伴い、ポケモンたちのグラフィックを大幅に向上させることができる一方で、開発に要する時間が増加してしまう。こうした事情から、開発を担当するゲームフリーク社は登場するポケモンを絞り込むという決断を下した(この辺りの事情は国内ゲームメディア『ファミ通』の記事が詳しく報じている)。

 しかしUS版『Newsweek』の記事によると、一部のファンは以上のような決断に反発して英語圏最大の掲示板サイトredditで「Dexit」と呼ばれる抗議運動を展開した。Dexitはもちろん「Brexit(ブレグジット)」をもじったものだ。ポケモンを絞り込んだことでファンのあいだに分断をもたらした、というわけだ。

 さらに悪いことにUS版『Newsweek』のほかの記事によると、同タイトルのリリース直前になってリークしたゲームデータを解析したところ、一部のポケモンが過去のそれのポリゴンメッシュを使い回していたことが発覚したのだ(下のツイート参照)。ポケモンを新規に作り直すと言っておきながらその裏で過去のポケモンを使い回していたことを知り、一部のファンは不誠実とも見れる開発スタジオの方針を「#GameFreakLied(ゲームフリーク社は噓つき)」とハッシュタグを立てて非難し始めたのだった。

 一連の抗議運動に対して、ゲームフリーク社は特に声明を発表していない。もっとも、こうした抗議運動が起こるのも、ファンがポケットモンスターシリーズを深く愛している裏返しとも見れる。そして、「ポケモン剣盾」はそうしたファンの愛に完全とは言えないまでも懸命に応えようとしているのではないだろうか。

トップ画像出典:YouTube「【公式】『ポケットモンスター ソード・シールド』 紹介映像」より

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi

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