麒麟・田村裕が語る、YouTubeでバスケ動画を届ける理由 「選手たちの本当の魅力を伝えたい」

麒麟・田村裕が語る、YouTubeでバスケ動画を届ける理由 「選手たちの本当の魅力を伝えたい」

 バスケットボール芸人として知られる麒麟・田村裕が、YouTubeチャンネル『麒麟田村のバスケでバババーン!』で奮闘している。渡邊雄太、八村塁、馬場雄大と、若手日本人選手が世界最高峰のNBAに挑み、バスケットボールという競技にかつてない注目が集まるなかで、「まだスタートライン」と気を引き締め、「バスケの素晴らしさと、大きなメディアにはあまり注目されない選手のおもしろさを伝えたい」と力を込める田村。人気芸人として多忙な日々を送るなかでも、国内男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE(Bリーグ)」の選手をフィーチャーし、スキル解説やレジェンドプレイヤーの紹介、そして芸人らしいバラエティ企画まで、バスケ人気の裾野を広げるため、動画に手抜きは一切ない。

 麒麟・田村はなぜ、ここまでの熱量を持ってバスケットボール業界を盛り上げようとしているのか。YouTubeチャンネル立ち上げの経緯から、彼が考えるバスケの魅力、チャンネルとしての今後の目標まで、話を聞いた。(編集部)

「内容を濃くしすぎて、資金が追いつかない(笑)」

ーーYouTubeチャンネル「麒麟田村のバスケでバババーン!」の開設から約5ヶ月が経ちました。あらためて立ち上げの経緯を聞かせてください。

田村:一番は、大好きなバスケのために何かしら恩返しと言うか、役立つことができひんかな、と考えたことですね。僕はしゃべるのがヘタやから、テレビ番組なんかにはあんまり呼んでもらえないんですよ(笑)。それ以上に、芸人はテレビやと解説者の目線は求められないし、バスケをなまじ知っているぶん、ふざけるのも難しかったりして、中途半端な立ち位置になってしまうんですよね。

ーーだから、自分で本当に見たいバスケ番組をやってしまおうと。

田村:そうなんですよ。やっぱり大きなメディアだと同じ選手ばかり取り上げられますし、「本当はこんなにおもしろい選手たちがいるんだ!」と伝えたくて。そんななかで、ちょうど僕の話に興味を持ってくれるプロデューサーに出会えて、時期的にもカジサック(キングコング・梶原雄太)が「芸人がYouTuberを始める」という道を整えてくれていたので、タイミングもここだと。後輩が切り開いてくれた道ですけど、これなら安全に歩けんじゃないかと思って(笑)。

ーー国内プロバスケ「Bリーグ」の選手に寄り添った動画から、スキル解説、NBAのレジェンド紹介まで、同じくバスケをテーマにした企画でも多彩な動画が投稿されています。企画はどのように考えていますか?

田村:基本的に僕とプロデューサーで相談しているんですけど、「人」から考えることが多いですね。有名選手と比べてフィーチャーされづらくても、能力が高くておもしろい選手はたくさんいるんですよ。だから、そういう選手のいいところを引き出すにはどんな企画がいいだろうと。パラリンピックに向けて盛り上がっている車椅子バスケもそうですし、なかなか再生数は伸びなくても、同じバスケットボールファミリーとして、盛り上げなければいけないのはどういうところなのか、というのは大事にしています。

ーー確かに、数字だけを追いかけるなら別のやり方もありそうですが、田村さんの動画からは、あくまでバスケットボールシーンを盛り上げるために、という思いがよく伝わってきます。

田村:それは忘れんようにと思っています。ただ、内容を濃くしすぎていることもあって、現状は資金が追いついていない状況で、なかなか厳しいですね(笑)。カジサックとコラボさせてもらって、チャンネル登録者が1万5000から2日で倍増して、まあスゴかったんですけど、普段YouTubeを見ない人も引っ張ってこないと、ずっと続けていくのは難しいなと。

ーーBリーグを始め、日本のバスケ業界との連携も重要になりそうです。

田村:そうですね。個別のチームについてはいろいろとお話しさせていただいていて、僕がどれだけバスケが好きかということをわかってくださっているので、ほんまやったら絶対に断られるような企画にも、協力していただけているんですよ。「バスケを盛り上げたい」という思いは足並みが揃っているので、その輪をもっと広げて、チャンネルの内容につなげていけたらいいなと。

「パンフではわからない、選手の人間性を伝えたい」

ーーここまで、バスケの関係者の方、芸人仲間など、周りの反応はどうですか?

田村:芸人さんは「なんかやってるらしいね」くらいですね。さっきも千鳥のノブくんが「動画に川島さん出てましたね」なんて声をかけてくれましたけど、そういうコミュニケーションはあっても、カジサックチャンネルほどお笑いに寄っているわけではないので、話題にはなりづらいというか。その反面、バスケを通じて会う人たちの視聴率はとんでもないですよ。50%超えてんちゃうか、くらいみんな見てくれてます。Bリーグの試合に行くと写真撮影が止まらないし、バスケの現場での人気だけはエゲツないです(笑)。

ーーその人気を、どうやって広げていくか。

田村:そうですね。バスケの注目度が上がってきているなかで、「どうやって深く知っていけばええねやろ」と思っている人たちの入り口になれればいいなと思うんです。例えば、Bリーグを見てみようと思ったときに、どのチームにどんな特徴があって、こんな選手がおんねや、という楽しい教材にしてもらえればと。試合のパンフレットで、選手の名前と出身校を見ても、人間性がわからなければ、心から応援ってできないじゃないですか。インタビュー記事を読んでも、その人がどんなふうにしゃべって、どんなテンションでふざけるのか、ということまではわからない。僕の動画では試合中とのギャップがあってええな、と思ってもらえるように、魅力を引き出したいと思ってるんです。

 いまはお金がないので、自分と近しい選手に声をかけさせてもらったり、仕事の都合で行く地域のチームに協力してもらったり、活動は制限されているんですけど、もっと再生数が上がって、YouTubeでお金が回りだしたら、「この選手を呼んでこの企画を」という、ピンポイントでみんなが見たい企画もどんどん叶えていきたくて。ただ動画を再生するだけでいいので、支えていただけたらうれしいです!

ーー具体的には、どんなことを実現したいですか?

田村:例えばアメリカまで行って、NBAで頑張っている渡邉雄太くん、八村塁くんの取材はもちろん、NBA選手のインタビューも届けられたらいいですね。テレビで試合のロッカールームに入っている映像をたまに見ますけど、真面目な人が静かにレポートするより、僕みたいなもんが「うわー!」言うて、視聴者目線で感動を伝えられたらおもろいんじゃないかと。自分が儲かることは考えていないんで、視聴者さんのなかから抽選で取材に同行してもらったりもできたら、さらに盛り上がりそうですよね。

ーー『SLAM DUNK』の井上雄彦さんもそうですが、バスケに携わる人の「貢献しよう」という熱量には驚かされます。

田村:やっぱり「あんなに面白いスポーツなのに、なんで日の目を見ないんか」という思いがあるんですよね。プロ選手でもその能力に見合った収入を得ているとはいい難いし、安いご飯でも、すごくよろこんでくれるんですよ。そういう状況が悔しいし、僕の貢献は井上先生とはまったく比べられないですけど、これからもっとがんばっていきたいなと。

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