麒麟・田村裕が語る、YouTubeでバスケ動画を届ける理由　「選手たちの本当の魅力を伝えたい」

「あと4～5回は奇跡を起こさないと」

ーー八村選手の活躍を始め、いまのバスケットボール業界にはポジティブな話題も多いと思いますが、その盛り上がりについてはどう捉えていますか？

田村：やっとチャンスが巡ってきたな、という感じですね。やっと打席に立てたなと。しかも、その打席に立った選手が、八村塁というとんでもないスターで、頼もしいです。でも、裏を返すと、このチャンスをどれだけものにできるかが大事で。僕、つい先日にバスケ日本代表の強化試合を観に行ったら、ほとんど過去最多というレベルの1万8000人が入っていたんですね。これはええぞ、と思いながら、数日後にサッカーJリーグのガンバ大阪 対 ジュビロ磐田を地元の吹田に観に行ったら、3万6000人入っているんですよ。代表戦でも何でもないレギュラーシーズンで、しかも下位チーム同士の試合で。これを目の当たりにすると、バスケの現実を突きつけられますよね。確かに追い風は吹いていて、いい状態やと思いますけど、あくまでこれがスタートラインなんやなと。やっぱり、業界全体で足並みを揃えていかないとやばいという状況やと思いますし、気を引き締め直しました。やっておいたほうがいいことは、いまのうちに全部やっておかないと。

ーーこの機会を逃すと、実現できないことが出てきてしまう。

田村：そうなんですよ。だから、ドラフト制度もそうやし、サッカーのTOTOのようなものが必要かもしれないし、何年もかけるのではなくて、すぐにそうとう強いテコ入れが必要で。プロ野球チップスのバスケ版みたいな商品が出たんですけど、なぜかカードがプロチームの社長やったりするんですよ（笑）。そういうゆるいところも魅力かもしれないですけど、野球やサッカーに追いつくには、寄り道はしてられへんし、あと4～5回は奇跡を起こさないといけない。アメリカみたいに、日本でもバスケが本当の意味での人気スポーツになってほしいので、やれることはなんでもやりたいですね。

ーーそのなかで、影響力のあるタレントがバスケットボール、あるいはBリーグの魅力を発信することは大きな意味がありそうです。

田村：そうですね。バスケに興味がある人により深く訴えようとしても、それだけでは裾野が広がらないんです。興味がない人も呼んでくるためにも、イベントやバスケ番組には芸能人にお金を払って来てもらうべきやと思いますね。

ーー例えば、芸能界の仲間でバスケに関心がある人は？

田村：一番バスケ熱があるのは、『仮面ライダー龍騎』に出ていた俳優の松田悟志さん。『炎の体育会TV』（TBS）の「KING OF 1 ON 1 芸能界バスケno1決定戦」で、僕は松田さんに決勝で負けてしまったんですけど。あとは俳優の浅利陽介さんも、バスケの専門誌にも積極的に出てたりしますし、田中圭さんや中村昌也くんも熱いですね。女優さんやと、桜井日奈子さんもそうやし、広瀬アリスさん・広瀬すずさん姉妹もちゃんとバスケができますから、もっと巻き込んでいけたら。

ーー田村さんの周りの芸人さんではどうでしょうか？

田村：すごく関心が高まっていて、会う人会う人に「八村くん、どうなん？」って聞かれるんですよ。芸人さんはアンテナが常にビンビンなんで、盛り上がることをキャッチするのが早いんですよね。芸人さんがいまそういう状態なので、あと数ヶ月したら、世間ももっと大きく盛り上がると思います。そうしたら、「もともと詳しかった」という顔でバスケを語る芸人も出てきそうですし（笑）、それでいいんですよね。バスケが盛り上がるなら、僕やなくて全然いいので。

ーー田村さんの動画でも、相方の川島明さんとの大喜利バスケ、カジサックさんや人気YouTuberで3x3（スリー・バイ・スリー）のプロ選手でもある、ともやん（レイクレ）とのコラボなど、外に開けた内容のものも増えていますね。

田村：そうですね。ただ選手にインタビューしているだけだったら、僕じゃなくてもいいと思うので、やっぱり芸人の色は出していきたいなと。そのなかで、芸人としての最初のゲストはやっぱり、相方の川島にしたかったんですよ。その動画をより多くの人に見てもらうために、カジサックとのコラボ動画を先に上げさせてもらいましたけど、収録は川島のほうが先で。これで芸人さんとの動画も解禁になったので、いろんな人に出てもらって、対決企画もやって盛り上げていきたいですね。

ーーYouTubeというシーンのなかで考えると、はじめしゃちょーさん、フィッシャーズ・シルクロードさん、水溜りボンド・カンタさんなど、トップクリエイターにもバスケ好きが多い印象です。今後、コラボする可能性も……？

田村：お願いしたいですね！　いまはまだつながりがないので、ぜひ書いておいてください（笑）。

ーーあらためて、このチャンネルの目標を言葉にしていただければ。

田村：チャンネル登録者数が増えて、お金もなんとか回るようになったら、選手にもちゃんとギャランティを払ってあげたいんです。いまはノーギャラみたいなもので、僕が一方的にお世話になっているだけなので、僕のチャンネルに出たら人気も出るし、お金もちゃんともらえる！というWin-Winの関係にしたくて。そうしたら、もっと濃い内容の動画が撮れると思うし、「これが見たかってん！」という企画ができると思うんですよね。芸人としてバラエティ要素も入れた企画もどんどん出して、幅広い方に楽しんでいただけるようなチャンネルにしたいです。

　ただ、いまはほんまに厳しい状況で、僕、少しでも再生数を増やすために、家のなかで自分の動画を再生しながら日常生活を過ごしたりしているんですよ（笑）。いい動画を届けて、日本のバスケットボールを絶対に盛り上げたいと思うので、ただ再生するだけで大丈夫ですから、何卒、支えていただければと。よろしくお願いします！

（取材・文＝橋川良寛／写真＝林直幸）

■YouTubeチャンネル「麒麟田村のバスケでバババーン!」
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