Steamがライブラリ刷新へ Epic Games Storeに流れたゲームスタジオはどうなる?

 PCインディーズゲームのオンラインストアの老舗にして最大手であるSteamが、ライブラリを対象としたアップデートを行う。このアップデートに関して海外メディアはおおむね好意的に評価しているものの、急速に台頭してきたあの勢力への対抗策としては効果が薄いようだ。

過去最大のアップデート

 Steamは5日、ライブラリを9月17日から大幅にアップデートすることを発表した。ライブラリとは、購入したゲームが一覧表示される画面のことである。プレイ中のゲームの実績も表示されるのでSteamユーザーにとってはなじみ深い画面であり、ユーザーのゲームプレイの歴史そのものとも言える。今回のアップデートの目的についてSteamは「優れたライブラリは埃まみれの棚にとどまるべきではなく、探すのが楽しく、探しものが見つかる場所」するためと説明したうえで、過去最大の刷新を行うと述べている。

 アップデートによって変わるもののなかで目をひくのが、ライブラリの表示方法に関する刷新である。具体的には現状よりゲームのアートワークが大きく表示されるようになり、さらにゲームのアップデート、最近プレイしたゲーム、フレンドのアクティビティ等に簡単にアクセスできるようになる。また、期間限定イベントの通知もライブラリに表示されるようになる。この機能は、ユーザだけではなくゲーム開発者にとっても有益なものである。

 さらに、現在Steamではユーザに実験的な機能を提供する「Steamラボ」という画面を立ち上げている。この画面にアクセスすれば、まだ標準実装されていないが興味深い機能を試用することができる。そうした実験的機能には毎日自動生成されるゲーム紹介動画を配信する「オートマチックショー」、AI技術の一種である機械学習を使ってユーザにゲームをおすすめする「インタラクティブレコメンダー」、Steamにラインナップされているゲームを6秒の動画で紹介する動画「ミニ予告編」といったものが用意されている。

Epic Games Store対策としては期待薄?

 以上のようなライブラリのアップデートに関して、海外メディアはおおむね好意的だ。ゲームメディア『PC GAMER』が5日に公開した記事では、「新しくピカピカになった」Steamのライブラリは「Netflix、Apple TV、あるいはAmazonプライム ビデオのようだ」と評して、現代的なデザインに生まれ変わることを歓迎している。

 テック系メディア『PCWorld』が4日に公開した記事は、従来の「カテゴリーを設定」に代わる機能である「コレクション」に言及している。「カテゴリーを設定」機能とは、ダウンロードしたゲームをカテゴリーごとに整理するものである。この機能を使うには、整理したいゲームに対して右クリックしなければならない。対して「コレクション」は、ドラッグ&ドロップだけでゲームを整理することができる。この機能に関して、同メディアは「革新的とは主張しないまでも、絶対的に必要不可欠なもの」と評している。

 ゲームメディア『Rock Paper Shotgun』が4日に公開した記事では、今回のアップデートをSteamのライバルとして台頭してきたEpic Games Storeを引き合いに出して論じている。Steamはすでに多くのゲームスタジオを抱えているものも、今回のアップデートをもってしてもEpic Games Storeに参入したゲームスタジオを呼び戻すことはできないだろう、と同記事は結論づけている。

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