『FGOオーケストラ』クリエイター陣が語る、コンサート後の“手応えと葛藤”

『FGOオーケストラ』クリエイター陣が語る、コンサート後の“手応えと葛藤”

INTERVIEW 指揮者:竹本泰蔵

ーーゲーム関係のオーケストラコンサートでも多く指揮を執っている竹本さんですが、『FGO』にどのような第一印象を持たれましたか?

竹本:ゲーム関係のコンサートの場合、お話をいただいたときに「だいたいの世界観はこういう感じかな」というのがわかるんですけど、今回は規模が壮大すぎてまるでわからなかったんです(笑)。『Fate』の名前はもちろん知っていましたが、作品世界の背景があまりに大きいというか、広いというか。これまで指揮してきたゲーム関係のコンサートでは、プレイヤーの気持ちが知りたくて自分でプレイしてみたり、元ネタとなった神話や物語などの歴史的背景を調べて、体感してから臨むことが大半でしたが、あえてそうせずに、いただいたサウンドトラックを聴くところから始めました。

ーーそれ以外には、どのようにして予習したのでしょう?

竹本:1つはプレイしている知り合いへのヒアリング。4人くらいに聞いたんですけど、みんなそれぞれ違った感想を持っていて驚きました。2つ目は楽譜に頼ること。これまではゲーム本編やビジュアル、世界観から楽譜に入っていったんですが、今回はまず、楽譜という名の地図を見ようと。それが大きなポイントだったのかもしれません。

ーー事前に発売されたCDのレコーディングはいかがでしたでしょうか?

竹本:三宅さんと打楽器の扱いに関して工夫したのが大きなポイントでした。レコーディングも別室をつなげてカスケードで録音したことも、私にとっては初めての経験でしたし、楽器自体もドラムセットではなく、各セクションに分解してグルーヴを作るというものだったんですが、そこも三宅さんと意見が一致して、どうやって作っていけるかを考えたんです。ちなみに、レコーディングの時はクリックを使ったんですけど、指揮をしながら90、91、92とテンポを動かしていたんですよ。

ーーそう、振りながらクリックのテンポを変えていたんですよね。それがすごく印象に残っていました。

竹本:有機的なグルーヴを作るうえでの工夫ですね。

ーーコンサートとレコーディングで変更したポイントは?

竹本:自分の中では「広がり」というテーマを掲げていました。打楽器のグルーヴがコントラバス〜チェロと繋がり、弦楽器・管楽器に広がっていく感じというか。プロジェクションマッピングも含めて、音がさらに拡張されるイメージで臨んで、実際にそうなりました。

ーーPAなしというのは、奏者的にも作り手的にも大きいもののようですが、指揮者側からするとどうなんでしょう?

竹本:全く変わりません。演奏する側はその時ベストな演奏をすることが大事で、PAありだとしても、そこがあったうえで音を調整するので。自分のポリシーとしては生音としてベストな音を作ることなんです。

ーー4月公演終了後、メドレー曲のブリッジについて芳賀さんとお話をされたとか。

竹本:よりよいグルーヴを生むために、その直前であるつなぎ目を変えようという話になりました。

ーー打楽器とのやりとりについて、5月公演ではかなりテンポを委ねたというお話も耳にしました。

竹本:打楽器セクションに対して、指揮者が「ここ、ここ」とテンポを決めすぎることは、良いようで悪くもあるんです。みんな人間なので、心地よく演奏する邪魔をしないことも大事というか。一言でいえば、プレイヤーへの信頼度が増したということですね。

ーーこれは芳賀さんに伺ったのですが、クワイアの皆さんに歌唱指導をされる際に、芳賀さんにあえて楽曲のコンセプトを説明してもらった意図とは?

竹本:だって、ベートーベンやモーツァルトに曲を作った意図なんて聞きたくても聞けないのに、生きた作曲者がそばにいるんだから、僕も聞きたいしクワイアの方にも知ってほしいじゃないですか(笑)。そうすることでワンランク上の形でスタートできるでしょうから。

ーー改めて、コンサートを終えて『FGO』の見え方は変わりましたか?

竹本:僕にとってはあまりに大きな世界だったので、楽譜と言う名の地図を真っ先に広げるしかなかった。でも、地図から世界が見えてきて、僕にとっての冒険も始まって、作曲家・編曲家・演奏家・照明スタッフ・プロジェクションマッピングを作られた方を含め、仲間が一人ずつ増えていったことで、見えたものはあると思います。表には出ない人たちの力もすごく大きくて、その力強さを改めて実感したプロジェクトでしたし、改めて『FGO』というコンテンツの器の大きさを知ることができました。

(取材・文=中村拓海)

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