『フジロック』YouTube配信、『新体感ライブ』、『Uplive』……躍進するライブ配信サービスに注目
2018年から2019年上半期にかけて、音楽ライブ配信サービスが躍進している。
音楽ライブの生中継と言えば、昔はWOWOWなどの有料放送が主流であり、現地で実際に観るか、有料放送に入会する、もしくはVHS(ビデオ)、DVD、Blu-rayとしてのパッケージが発売されるのを待つ、といった流れがほとんどであった。そんなフォーマットを覆したのが、ライブビューイングだ。2010年に初めて音楽アーティストのライブが全国各地の映画館でライブを生中継され、会場にいなくてもリアルタイムもしくはディレイビューイングとして体験できることは、当時革命的な出来事だった。
その後、ライブビューイングはコンサートを気軽に楽しむことができるコンテンツとして広く一般化。今年、2月にグループを卒業した乃木坂46の西野七瀬の卒業コンサートは、全国218館のライブビューイング会場で生中継され、約10万人が鑑賞した。コンサート開催日の翌日にディレイビューイングが開催されるほどの事態となったのだ。現在ライブビューイングは、チケットが取れず涙を飲んだファンの受け皿として機能する場所、または海外公演などのなかなか足を運ぶのが難しいライブを目撃できる場所としての一面もある。
中には映画館だけでなく、BABYMETALがZepp DiverCity TOKYO(2017)、欅坂46が大阪城ホールでライブビューイング(2019年)を開催するなど、より実際のライブ空間に近い場所を選択する例もある。今月には全国のカラオケルームがライブビューイング会場となる機器『JOYSOUND MAX GO』が本格始動し、新たな展開を見せていきそうだ。
ライブビューイングの浸透の一方で、発展をしてきたのがパソコンやスマートフォンから楽しむことができるライブ配信。数多のプラットフォームが乱立する中で、昨年大きな話題となったのが『FUJI ROCK FESTIVAL』のYouTubeライブ配信だった。もともと、アメリカ・カリフォルニア州で開催されている『コーチェラ・フェスティバル』が9年前よりYouTubeでのライブ配信を実施しており、SNSの普及に従い、夜通しで実況したものがトレンドに上がる流れが恒例になっていた。
今年は、チャイルディッシュ・ガンビーノ、アリアナ・グランデ、ビリー・アイリッシュ、BLACKPINK、カニエ・ウェスト(サンデー・サーヴィスで登場)といったビッグネームを始め、日本勢からはPerfumeがラインアップ。映画と見間違うかのようなカメラワーク、演出には驚くばかりで、特にPerfumeの映像は真鍋大度によるモーションキャプチャが炸裂した、世界に誇るパフォーマンスの連続であった。
そんな時勢もあり、昨年実現したのが『FUJI ROCK FESTIVAL』のYouTubeライブ配信だ。国内音楽フェスとしては初のYouTube配信。初日のヘッドライナーを飾ったN.E.R.Dのほか、SKRILLEX、VAMPIRE WEEKEND、CHVRCHES、日本アーティストからもサカナクション、エレファントカシマシ、Suchmos、King Gnuといったおよそ60組のアーティストのパフォーマンスが配信され、3日間の2チャンネルの合計視聴回数は1200万回、同時間帯での最大視聴者数は8万人、視聴者比は国内:85%、国外:15%だという(BARKS/CINRA.NET)。今年のライブ配信はまだアナウンスされてはいないが、昨年の反響から考えても行われる可能性は極めて高いだろう。