『フジロック』YouTube配信、『新体感ライブ』、『Uplive』……躍進するライブ配信サービスに注目

ライブ配信サービスの躍進に迫る

 「ライブはもっと、もっと自由になる」というキャッチコピーのもと、2019年1月にNTTドコモが提供を開始した音楽ライブ配信サービスが『新体感ライブ』だ。好きなアングルを選んでライブを視聴できる「マルチアングルライブ」、アーティストのグッズにスマートフォンのカメラをかざすことでCG映像や演奏を楽しめる「ARフィギュア」機能が特徴。サカナクションのホールツアー独占生配信のほか、[ALEXANDROS]のメンバー4人がARフィギュアになって「アルペジオ」を演奏するといったコンテンツがある。

 先述した乃木坂46の西野七瀬の卒業コンサートは、新体感ライブでも生配信、見逃し配信がされており、さらには4月にHKT48を卒業した指原莉乃の卒業コンサートもコンテンツとして配信されている。指原の配信を例に挙げれば、グループメンバーの副音声や指原のコメント映像、複数のカメラを切り替えることができる「指原追っかけカメラ」など、コンサートを何度も追体験できる独自の内容となっている。

 新体感ライブを提供しているNTTドコモのサービス「dTV」では、三浦大知やDA PUMP、乃木坂46などのライブを配信しているが、無料ライブ配信サービスという視点で考えると、ほかにはLINE LIVE、ニコニコ生放送、Periscope、Upliveといったライブストリーミングがある。PeriscopeはTwitterが開発したライブ配信アプリで、Upliveは世界で6000万人以上のユーザーを抱えるグローバルライブ配信アプリ。今年1月には、ももいろクローバーZの台湾公演の模様がUpliveで生配信された。アーティスト側は、どのプラットフォームを選べば、どのようなユーザーにリーチするのかを考えるのも配信する上で重要になってくるだろう。

 また今後、ライブ配信サービスに期待することとして、2020年の開始が見込まれている第5世代移動通信システム(5G)がある。NTTドコモは、5Gを活用した世界初の360度8K3D60fpsVRライブ映像配信・視聴システムを開発したことを発表しており、このシステムを利用すれば音楽のライブイベントをリアルタイムに360度8K映像として撮影、配信することが可能。ヘッドマウントディスプレイを通して3DVRライブ映像を視聴することもできるという(参照)。

 NTTドコモがこのシステムを活用する目的は、言わずもがな新体感ライブやdTVだろう。NTTドコモだけでなく、KDDI、ソフトバンクも5Gの開始に向けて開発を進めており、ソフトバンクは昨年の『FUJI ROCK FESTIVAL』YouTubeライブ配信の協賛だったことから、今後さらにこの分野に力を入れていくとも読み取れる。今年9月には、5Gのプレサービスが開始する予定で、本格的なサービスの開始は2020年春。今年から来年にかけて、さらなるライブ配信の躍進が進んでいきそうだ。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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