秋元康プロデュース「劇団4ドル50セント」生配信ドラマスタート! 『あなたがいなくて僕たちは』への期待

 秋元康が総合プロデュースする劇団4ドル50セントの新プロジェクトとして、LINE LIVE史上初となる生配信スマホドラマ『あなたがいなくて僕たちは』が5月17日20時よりスタートした。元欅坂46の今泉佑唯をゲストに迎えた第1話は衝撃的な展開を迎え、早くもネット上で物議を醸し話題となっている。第1話を実際見てみて感じた、このドラマの生配信ならではの魅力とその可能性について考察してみたい。

 まず劇団4ドル50セントとは、2017年に秋元康と、エイベックスCEO・松浦勝人の共同プロデュースによる劇団プロジェクト。"夢を見たけりゃ、目を開けろ。"をキャッチコピーに全国各地でオーディションが開催された。「15歳以上の役者志望」を条件に、総応募数約5,000人から、元AKB48の研究生、俳優・モデル経験者、現役の植木職人などバラエティに富んだメンバーが選ばれた。なお、現在HPに掲載されている劇団員は、女性20名、男性8名の計28人。劇団員の9割は演技経験0からのスタートだ。映画やドラマなどの俳優業以外にも各劇団員の個性に合わせてバラエティ、モデル、音楽など多岐にわたる芸能活動を目指す。ちなみに、秋元が命名した劇団名は、ジャニス・ジョップリンが、夢半ばで亡くなった際に4ドル50セントを握っていたことから、劇団員がジャニスの代わりに夢を掴めるようにという思いが込められているという。

 劇団4ドル50セントの特徴を挙げるならば、ネットを駆使したファンとの繋がりだろう。劇団のYouTubeチャンネル『ドルセンTV』では劇団員が持ち込んだ企画を提供したり、SHOWROOM(以下、SR)では劇団員の個人配信も行われている。こうしたコンテンツは、劇団の宣伝戦略としては珍しくないだろう。しかし、オーディション内容は秋元プロデュースならでは。2018年2月に行われた旗揚げ本公演『新しき国』では、YouTubeに投稿された課題動画から審査員投票とファン投票(動画視聴回数&Good数)による獲得票数の総数上位8名が選ばれた。メインキャストの発表はYouTubeでのライブ配信で行われ、劇団員は自身のSR放送でその連絡を待つという二元中継だった。2018年11月の第2回本公演『ピエロになりたい』も同じ審査法でメインキャストが決定している。

 乃木坂46の『16人のプリンシパル』にも似たような事例があった。同舞台の第1幕では、第2幕の配役を決めるオーディションを実施。全メンバーが楽曲、自己紹介、ダンスを披露し、観客の投票で配役が決定した。劇団4ドル50セントが行ったメインキャストの選定は、『16人のプリンシパル』で行ったオーデョションを配信サイトに置き換えたものだろう。また最近のAKBグループや坂道系のオーディションもSR審査を行うことが定番となっている。劇団4ドル50セントは、ファン巻き込み型のノウハウを活かした秋元康らしい戦略が施された革新的かつ野心的な劇団という印象だ。

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