Google、検索からのショッピング機能を強化へ Amazonと競合関係に?

Amazon化するGoogle、Google化するAmazon

 以上に解説した新機能からは、オンラインショッピング事業を強化しようとするGoogleの意図が読み取れる。この意図を実現しようとすると、オンラインショッピング最大手のAmazonと競合することになる。ニューヨークタイムズ紙は14日、競合関係になりつつあるGoogleとAmazonの関係を考察する記事を公開した。

 先月Googleは直近四半期の決算報告を行ったのだが、この報告の直後株価が下落した。というのも、同社の主たる収入源である広告収入の成長率が39%であったことがわかり、この数値は過去に記録した成長率である50~60%を下回っていたからだ。こうした財政事情から、同社には広告業以外からの収入強化が求められている。今回のショッピング機能強化は、新たな収入の柱を構築する試みのひとつと考えられる。

 対するオンラインショッピング最大手のAmazonは、実のところ、広告業も手がけている。Amazon公式サイトに広告を掲載するというものなのだが、同サイトの絶大な知名度のために広告媒体として高い評価を得ている。大手証券会社モルガンスタンレーは、同社の広告業に対して850億ドル(約9兆3,000億円)の価値があると見積もっている。こうした高評価の理由として、大手広告業者GroupMのアナリストであるBrian Wieser氏は「Amazonを閲覧中のユーザは買いたい商品を探しているというよりまさに商品を買っている最中なのであり、こうしたユーザの状態が広告効果を高めているのです」と述べている。

 GoogleとAmazonは、事業が多角化するにつれて直接的な競合関係になりつつある。こうした競合関係がユーザに何らかの恩恵をもたらすかどうかについては、容易には判断できない。だがしかし、この2社が競合しあうことになってもGAFAの世界的支配が弱まるということはないだろう。

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi 

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