『名探偵ピカチュウ』『シン・ゴジラ』……“モーションキャプチャー”が可能にする新時代の映像表現

 映画やゲームなど、CGアニメーションを利用した作品制作に活用される「モーションキャプチャー」。人体や物体にマーカーを取り付けて、そのリアルな動きをデジタルデータとして記録し、より自然なCGアニメーションを作ることができる。とりわけ迫真的な映像を作ろうとするハリウッド映画には欠かせなくなっている技術だ。

 ここでは、主に映像作品における「モーションキャプチャー」の功績と、『名探偵ピカチュウ』などの最新作品も例に出しながら、この技術がもたらす可能性について考えていきたい。

 「モーションキャプチャー」は、ものの動きそのものを情報として記録する試みだ。その起源は2000年以上前の古代ギリシアにおけるアリストテレスの思考実験にさかのぼるといわれる。それは、人間にインクのついた草を取り付けて壁沿いを歩かせると、壁には上下に波打つ線が描かれるというものだった。つまり人間が歩くのを横から見たとき、車のように一直線に移動するのでなく、足を屈伸させながら進むので身体全体が上下に揺れてしまうということである。この真理は、現代のアニメーターも覚えておかなければならない知識だ。

 時代が変わり、アニメーション作品が作られるようになった頃、ウォルト・ディズニーは、アニメーションでも実写映画と同じボリュームで、リアルかつ芸術的な作品を作ることができないかと考えた。そして、苦心の末に生まれたのが、ディズニー初の劇場長編作品『白雪姫』(1937年)だった。ここで使われたのは、実際の役者に演技をさせた映像をアニメーターがトレースすることで、リアルな動きを再現するという「ロトスコープ」という技法だ。これもまた、現代の「モーションキャプチャー」へと連なる試みである。

 動きを正確に再現したいというクリエイターの欲望は尽きることがない。1959年にはすでに、ボディースーツを着た人間の動きを、アナログ回線によってブラウン管のモニターに映し出し、記録することに成功。そこからはコンピューターの発達とともに、より精度が高められ、3DCGのゲームや3DCGアニメーション作品の出現とともに、「モーションキャプチャー」技術はとり入れられていく。

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