「Apple Arcade」とGoogleの「Stadia」2社の新たなゲームサービスは“競合しない”? 海外メディアの反応を紐解く
Google Stadiaと比較すると……
テック系メディア『Tom’s guide』は、Apple Arcadeと先日Googleが発表したゲームストリーミングサービスであるStadiaを比較する記事を公開した。その記事では、両サービスをわかりやすく比較できる対応表が掲載されている(下の和訳した表を参照)。
表の出典:Tom’s guide「Apple Arcade vs. Google Stadia: Which Gaming Service Will Win?」より表を和訳して作成
引用した表を参照することにより、それぞれのサービスの強みと弱みが理解できるようになる。対応デバイスの範囲は、Google Stadiaの方が広い。ただし、Google Stadiaはオンライン状態でなければ利用できないのに対し、オフライン状態でもプレイできるApple Arcadeの方が利用環境の範囲が広い。サービス対象地域に関しても、少なくともサービス開始時点ではApple Arcadeの方がGoogle Stadiaより多いことがわかる。
諸々を比較したうえで両サービスの方向性をまとめると、次のようになる。Apple ArcadeとはAppleがキュレーションした良質なモバイルゲームを提供するサービス、と言える。このサービスの強みであるオフライン状態でもプレイ可能という特徴は、モバイル端末におけるプレイでこそ生きるものであろう。対して、Google Stadiaはゲーム機とPCでプレイするゲームの市場に対して脅威となるサービスである。というのも、クラウドサーバでゲームを制御するというStadiaのコンセプトは、ゲーム機やゲーミングPCを使わずにハイスペックなゲームをプレイすることを可能とするからである。
以上の分析より導き出せるのは、サービスが目指す方向性が異なるためApple ArcadeとGoogle Stadiaは直接的な競合とはならないだろう、ということである。この分析結果は、両サービスは一方を利用すると他方はもはや利用しなくなる、というような排他的な関係にはないことをも含意する。それゆえ、両方のサービスを利用するハードコアゲーマーが現れても不思議ではないだろう。
トップ画像出典:Apple Arcade公式ページより画像を抜粋
■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi