いま中国で話題の“選択式”ミステリー番組「頭号嫌疑人」の魅力とは?

 中国でも最近「インタラクティブ」という言葉をよく耳にするようになった。「インタラクティブ」とは、簡単にいうと、対話、双方向や相互作用という意味で、多く使われている用途は、展示イベントやレジャー施設、あるいは文化芸術分野での”インタラクティブ体験“だ。

 このインタラクティブ体験の中でも、今年にはいってSNS、ネット世代の若者を中心に人気を集めているのが、湖南衛視の配信サイト「芒果TV(Mango TV)」のインタラクティブ番組「頭号嫌疑人」だ。

「頭号嫌疑人」番組のオープニング

 この「頭号嫌疑人」はいわゆる「微電視劇(ネットドラマ)」とよばれる1話約20分のショートドラマで、ストーリージャンルは謎解きミステリーだ。6話のエピソードに分かれていて、視聴者はパソコンやスマートフォンの画面をクリック操作することでこのドラマに参加でき、手がかりを分析、犯人を特定するための推理を組み立てていくというゲーム要素が組み込まれている。

 一般的なミステリードラマは、主人公の刑事、或いは探偵が少しずつ謎解きをして、時に視聴者にヒントを見せるなどの手法で、主人公と一緒に、あるいは視聴者が主人公よりも早く犯人へとたどりつき、最後には「やっぱり、犯人はこの人だった」となるのがセオリーだ。

 今回の「頭号嫌疑人」は、インタラクティブ•謎解きミステリー(視聴者参加型謎解きミステリー)という新たな分野を打ち出し、多くの視聴者を魅了しているが、その理由はさまざま考えられる。

 まず、単純に言えば、この一見斬新に見える「インタラクティブ体験ドラマ」、使われているツールはパソコンやスマートフォン、とりわけスマートフォンが主流になると思うが、若者からすると日常使い慣れている身近なツールで、操作にも抵抗感がないことがあげられる。しかも配信元の「芒果TV(Mango TV)」はこれまで数々のヒット作品を出していて、若者の圧倒的支持を集める人気サイトのひとつ。

 さらにストーリーの最後には、SNSを使った視聴者同士の情報シェアやコミュニケーションができる、といまどきの若者の趣向を全てカバーしている。こうしたことがまず前提にあり、短期間にかかわらず、厚いファン層をつくっているとも言える。

登場人物の供述を聞き、手がかりを模索していく

 そしてストーリーだが、視聴者の好奇心を刺激するハラハラドキドキのミステリー要素満載で、通常のTV番組のミステリーだけでは物足りない、犯人が分かっているのに展開が進まずもどかしい、といった歯痒さがないばかりか、逆に、視聴者の観察力、洞察力そして判断力などの真価が問われる、視聴者にとってチャレンジングな番組になっている。当然、ドラマを盛りあげるために不可欠な愛情、憎悪、財産、口封じ、事件当時の完璧なアリバイなどの要素も盛り込まれている。

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