【連載】ゴールデンボンバー歌広場淳の「格ゲーマーは死ななきゃ安い」:第四回

金爆 歌広場淳が本当の”eスポーツ元年”=2018年を総括!「RTA」プレイヤーにも賛辞を

 大のゲームフリークとして知られ、ゲーマーからの信頼も厚いゴールデンボンバー・歌広場淳による連載「格ゲーマーは死ななきゃ安い」。2019年第一回目となる今回は、eスポーツシーンが大きく動いた2018年を総括し、個人的にハマったゲーム、そして動画をよく見て燃えているという「RTA」(リアルタイムアタック)というカルチャーまで、大いに語ってもらった。(編集部)

「ゲームをする」ことの自由が広がった

 2019年第一回目ということで、今回は本当の「eスポーツ元年」と言えた、2018年を振り返りたいと思います。

 2018年は年始から年末までゲームの話題に事欠かなかった一年で、地上波のテレビでもゲームを中心にした番組が増えたし、ニュースでも「eスポーツ」という言葉を目にするようになりました。新語・流行語大賞のトップ10に「eスポーツ」がランクインして、さらに幅広く認知されたことは間違いないと思います。

 僕個人としては、「ゲームをする」ことの自由が大きく広がったように感じていて。これまでは何かの目から逃れるようにしてゲームを楽しんでいたのが、堂々と「eスポーツだ」と言えるようになった。僕と一緒にゲーム番組の現場に入っていた事務所スタッフも、「最初はまったくわからなかったんですけど、どっちが勝っているかわかるようになりました」「ときどさんって本当に強いんですね!」なんて楽しそうに言っていますが、これは特別なケースではなく、様々な場面で接触の機会ができ、eスポーツの面白さを知る人が増えたと思います。

 一方で、2019年以降は、シーンとしてルールやマナーが求められるタームに入っていくんじゃないかと。「eスポーツって盛り上がっているけど、私たちに何をもたらしてくれるの?」という、ゲームにまったく関心のない人々も巻き込むには、社会貢献のようなものも含めて、「eスポーツのおかげで、社会がいい感じになってきている」という感覚を持ってもらわないといけない。また僕は幸運にもゲームに対して志が高い方々と仕事ができ、「流行ってるから適当に乗っておこうぜ」というフリーライダー的な発想の人には出会っていませんが、もともとゲーム/eスポーツにかかわってきた人たちからすると、急に周囲がざわつき出した状況に違和感を覚えることも少なくなかったはず。道ができたら舗装の段階に入るのと同じで、やはり場を荒らさず、シーンを盛り上げるためのルールやマナーが大事になってくると思うんです。

 僕自身は、1月の「EVO Japan 2018」から年末の「TOPANGAチャリティーカップ」まで、多くの大会や番組に参加させていただき、取材を受けることも増えました。そのなかで、プロゲーマーの皆さんとも間近に接することができ、そこで印象的だったのは、スポンサードする企業の多様化です。かつては周辺機器メーカーが中心だったのが、「そんな企業まで!?」という衝撃があった。例えば、世界トップレベルのマルチプレイヤー・GO1さんはロート製薬の目薬「Z!」にスポンサードされました。確かに、ゲーマーは目を使うから目薬はアリだな!と納得しましたが、少し前までだったら考えられなかったこと。スポンサードする企業にとって、もちろん選手が勝つに越したことはないけれど、一番は企業の名前や商品を印象づけてくれることで、つまり、多くの企業がeスポーツに目を向けるようになったなかで、プロゲーマーはより「勝利以外のこと」も求められる時代になっていくと思います。

 例えば、僕らの世代からすると「梅原大吾」といえば誰よりも勝利に貪欲なビーストですが、大会や番組を見ている若い世代の人たちに話を聞くと「面白い人」という認識だったりする。「時代は変わったなぁ」と思いますが、トッププロはゲームの勝ち負けを超越したところでも、ちゃんとファンの心をつかんでいるということがわかります。

 先述の「TOPANGAチャリティーカップ」は、大会に出場する選手の参加費、寄付金が全額、日本赤十字社に寄付されます。僕も参加しましたが、エンジョイ勢も含めて多くのプレイヤーが集まり、チーム戦で盛り上がるこういうイベントも、eスポーツを盛り上げるために重要なもの。僕は待ち時間に何かやりたいと思い、募金や献血の呼びかけをしました。「いいことしてるぞ、どや!」という感覚ではまったくなく、ゲーム大会の会場で、ゲームの外に広がることに一生懸命になれるのが、本当に楽しかったんです。結果として、日本赤十字社の方にも「おかげさまで、O型の血液が集まりました!」なんて言っていただけて(笑)。ふと、全然売れていないときのゴールデンボンバーが、ビラ配りをしても誰も受け取ってくれなかった……という思い出が重なって、胸が熱くなりました。配信台でも目立つことができたし、本当に楽しかった。2019年もこういう経験がたくさんできたらいいな、と思います。

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