“実況映え”するゲームの条件とは? ゲーム実況人気タイトルから考える
動画・ライブ配信サービスの誕生後に生まれ、今やYouTubeをはじめとした動画サイトの中でも一大ジャンルを築き上げているゲーム実況。新しい時代のエンターテイメントとして若い世代を中心に親しまれているゲーム実況だが、普通にプレイして面白いゲームと、実況して面白いゲームは必ずしも一致しない。
たとえば、下半身が釜に入った男がハンマーで山を登る『Getting Over It with Bennett Foddy』はその難易度の高さからあまりにもストレスが溜まるポイントが多すぎて、独自の良さはあるものの万人向けとは言いづらい。ところが、このゲームを扱ったゲーム実況は人気を博しており、多くの実況者やVTuberが本作に挑戦している。
ゲーム実況者はどのような基準で実況する動画を選んでいるのか? 実況して面白いゲームとはどのようなゲームなのか? この記事ではゲーム実況で人気のタイトルを例に出しながら"実況映え"するゲームについて考察する。
実況者にどれだけリアクションさせるか? ホラー系フリーゲーム
ホラーゲームと実況プレイは相性が良い。2006年、ゲーム実況の黎明期に「びびりバイオハザードプレイ」というタイトルのゲーム実況が人気を博したのを覚えているだろうか。
実況者がゲームプレイ中に感じている恐怖を視聴者と共有でき、さらに実況者の驚くリアクションまでエンタメになる。実況者が意図せずとも、必然的に動画をエモーショナルなものにするのがホラーゲームなのだ。
そんなホラーゲームの中でも、ニコニコ動画・YouTubeの実況動画を中心に火がついたのが『青鬼』を代表とするホラー系フリーゲーム。無料でプレイ可能でキャプチャボードのような配信用機材も必要ないフリーゲームは実況者にとって気軽にプレイできるタイトルで、かつ前述の通りホラーゲームと実況の相性は抜群だった。
『青鬼』や『魔女の家』では初見プレイでは到底ゲームオーバーを避けられない"初見殺し"なポイントがゲーム内に多数登場し、プレイヤーを苦しめる。実は、この初見殺しこそがゲーム実況者にリアクションをさせるきっかけを作り出している。いわゆる出オチ的なゲームオーバーは通常のゲームプレイではストレス源になるが、実況ならばリアクションのネタになるのだ。
動画の数だけ生まれるクリティブ系ゲーム
ホラーゲームに続いて実況動画で人気なのが、『マインクラフト』や『スーパーマリオメーカー』のようなクリエイト要素のあるゲーム。
サンドボックス系のゲームは、プレイヤーが作り出す建築物や地形が当然ながら人それぞれ違ってくる。すると、同じ『マインクラフト』の実況動画でもそれぞれの動画が差別化される。
RPGやアドベンチャーのようなある程度決められた道を辿るゲームでは、実況者のトークが異なるだけでゲームの内容自体は動画ごとに大差のないものになりがちだ。しかし、『マインクラフト』や『テラリア』といったサンドボックスゲームは実況者ごとに多様なゲームプレイが成立する。
同様に、歴代マリオのステージを自分でデザインできる『スーパーマリオメーカー』も、動画ごとの差別化が容易であるため多くの実況者がこぞってプレイしている。
このタイトルは、オンライン上にアップされた他人のステージをプレイできるのも実況者にとって嬉しいポイントだろう。今をときめくトップYouTuberのヒカル氏も、かつては700本以上の『スーパーマリオメーカー』実況をアップロードしていたが、その多くはオンラインで公開されているステージのプレイ実況だ。