全然知らない変な曲が無限に流れてくる! 韓国発「ポンチャックマシーン」のある暮らし
で、ついにポンチャックマシーンがある暮らしが始まった。おれはもう、いつでもどこでもポンチャックと一緒である。ただ、やってみてわかったんだけど、仕事中にポンチャックは禁物だ。なんというか、うるさい。おれはライターなので仕事の大半は原稿を書いたりすることなのだが、パソコンを前にして「何を書こうかな~?」と唸っている横で「ズンチャズンチャ!」とバリバリに割れた音がしているのはどうも始末に負えない。ポンチャックを聞きながら原稿を書くのは、砲弾が降り注ぐ中で取材する戦場ジャーナリスト並みの神経の太さを必要とする行為だろう。
しかしポンチャックマシーンをフル稼働しながらの方が効率よく進む作業というのもある。おれの場合、それはまず皿洗いだった。おれは皿を洗うという行為が死ぬほど嫌いである。もう嫌いで嫌いで仕方がない。次に引っ越すときは食洗機を置けるかどうかを最優先事項にして引っ越し先を決めようと思っているくらいである。が、不思議とポンチャックを聞きながらだと皿洗いが早く終わる。何を歌っているのかなんにもわからないけど、とりあえず妙に景気がいい曲ばっかりなので、こういうしょうもない単純作業にはもってこいだ。
さらに言えば、部屋を掃除するときにもポンチャックは大活躍である。布団を干して服を洗濯して掃除機をかけて……というめんどくさい作業をするときでも、景気のいい2拍子とヘロヘロのシンセの音色があれば心は晴れやか、「なんだよこの曲~!」とか言ってるうちになんとなく掃除機をかけ終わっている。これには驚いた。かったるい家事をやるときには、ポンチャックを聞けばよかったのである。
あと、これはまだ試す機会を伺っている状態なのだが、宴会向けのツールとしてもおそらくポンチャックマシーンは有効である。なんせスイッチ一発で誰も聞いたことがないチープで景気のいい曲が数千曲呼び出せるのだ。場が盛り上がらないわけがない。さらに「誕生日って何月何日?」「5月12日かな~」「じゃあ0512……と入力すると……」「うっわなんやこの曲……」「全然わかんない……」という感じで、さりげなく気になる人の誕生日を聞き出したりできるかもしれない。書いてて思ったけど、誕生日くらい普通に聞けばいいですね。
というわけで、今おれはまるでスマートスピーカーの一種か何かのように、常にポンチャックマシーンを持ち歩いている。生活が楽しくなったかと言われると困るが、確実に変なスパイスが加わった感じはある。日本で入手するのはちょっと難しい(でも不可能ではない)アイテムではあるが、ちょっと興味の出てきた好き者の皆さんには強くオススメしておきたい。
■しげる
ライター。岐阜県出身。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。