出版業界に新たなビジネスチャンス? ストリーミングで活性化するオーディオブック市場

 その他には、『銀河英雄伝説』、『アルスラーン戦記』、『グインサーガ』などのオーディオブックを提供する「kikubon」、作家・学者・落語、講談、朗読などのオーディオブックを定額で聴き放題できる「LisBo」などがある。また、新潮カセットブックは、「新潮CD」として、現在も音声コンテンツを販売している。

 この数年、日本でのオーディオブック市場は活気を増してきた。世界に目を向けてみると、オーディオブック市場は好調である。カナダの出版団体「BookNet Canada」が発表した「State of Digital Publishing in Canada 2017」によると、カナダ国内出版社の61%がオーディオブックを制作しているという。また、イギリスでは、「Audible UK」の2017年の売上が前年比45%増の9700万ポンド(約142億円)に達した。

 スマートフォンやスマートスピーカーの普及にともない、現代人の生活は大きく変化した。"本が聴ける"オーディオブックは、ストリーミングでさらに身近なものになり、そんな現代人に新しい読書の形を提供している。「本のない図書館タクシー」を皮切りに、次々とオーディオブックの新しいサービスが登場してくる可能性は少なくないだろう。出版業界にとっては、久々に到来したビジネスチャンスといえるかもしれない。

■吉川敦
フリーライター。音楽と言葉が大好物。憧れの人物はアインシュタインとエルキュール・ポアロとアンディ・ウォーホル。

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