Apple、「弱気な」四半期業績予測を発表 市場の話題は早くも次期iPhoneの仕様予測に
先月末に新しいiPad Proを発表し、主力製品のラインナップを刷新したAppleが最新の業績報告を発表した。その発表によると、年末商戦期を含む2019年第1四半期(2018年10~12月)の業績予測はやや弱気な数字を計上している。同社が慎重な数値を提示するのは、アメリカ経済をめぐるある政治情勢が関係しているようだ。
米中貿易摩擦でiPhone作りが難航?
ロイターは、2日、Appleの業績報告について報じた。まず2018年第4四半期(2018年7~9月)の売上は629億ドル(約7兆1,000億円)だったのだが、この数字は市場の予測を上回っていた。そして、2019年第1四半期の売上予測は890億ドル(約10兆円)から930億ドル(約10兆5,000億円)のあいだと予測している。この予測の中央値に当たる910億ドルは市場関係者が期待する予測値である930億ドルを下回っているため、同社は「弱気」な見通しをたてていると解釈され、業績報告の直後に同社の株価は7%下落した。
業績予測に関して、ロイターが同社CEOのティム・クック氏にインタビューしたところ、「新興市場において、マクロ経済的な弱みが見受けられる」と同氏は答えた。そして、弱みが見られる市場としてブラジル、インド、ロシア、そしてトルコという国名を挙げた。
同社の先行きに関しては調査会社Elazar AdvisorsのアナリストChaim Siegel氏が、昨今の関税引き上げをめぐる米中貿易摩擦によって、iPhoneの製造に必要な資材の確保が難しくなることが考えられる、と述べている。
成長するサービス部門
ロイターの記事ではiCloud、App Store、そしてApple Musicを含むAppleのサービス部門の2018年第4四半期における売上が100億ドル(約1兆1,000億円)になったことも伝えている。この売上は、アナリストたちが予想した通りの数字である。
アメリカ大手メディアCNBCも、「Appleのすべての主力製品カテゴリーにおけるインストールベースの利益(アプリや定額サービスからの利益を指す)は一貫して高い水準にあり、直近の5四半期連続で成長している」というクック氏のコメントを報じた。
Apple製品専門メディア『appleinsider』は、今回のAppleの業績報告に関する詳細な数値をまとめた記事を公開しており、そのなかにはサービス部門に関する数値も記載されている。公開された数値のなかには、定額サービスを提供するサードパーティ製アプリはすでに3万ある、というものがある。こうしたサービスの事例にはNetflixやhulu、Spotifyが挙げられるだろう。また、iPhoneを活用する決済サービス「Apple Pay」のトランザクション(決済に伴う通信回数)が前年比で3倍になり、アメリカの小売店舗の60%が同サービスをサポートしている、ということだ。