読書の秋は“ゲームを読もう” ブルボン小林から伊集院光まで、ゲーマーのためのブックガイド
子供の頃、持ってもいないゲームの攻略本をひろげて「このゲームはどんなゲームなんだろう、面白そうだな」とワクワクした経験はあるだろうか。
エッセイや小説、漫画に攻略本。ゲームについて書かれた本は少なからず存在していて、そんな本を読んでいると子供時代に持っていないゲームの攻略本を読んだときのワクワクを思い出す。そしてまた、遊んだことのあるゲームの話題が出れば、自ずと過去のゲームプレイがよみがえってくる。
この記事では、これまでに出版されたゲームに関する書籍の中から、特におすすめしたいものを紹介する。より良いゲームライフのために、あなたにぴったりのゲーム本を見つけてほしい。
ブルボン小林『ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ』太田出版(2005年)
“ゲームはかつて観光だったのだ。『スカイキッド』『シティコネクション』に自由の女神が、『ボンジャック』にスフィンクスが描かれていたのは、ゲームの観光性をいみじくも語っている。”
ブルボン小林(長嶋有)が綴るゲームエッセイ。取り扱われるタイトルは、レトロゲームからゼロ年代初頭のPS2ソフトまで幅広く、ゲームへの深い愛と考察の詰まった一冊だ。芥川賞作家でもある著者が、ゲームという文学の解釈を試みる。読み物としての面白さだけでなく、ゲーム論・ゲーム批評としても読める作品。
藤田祥平『手を伸ばせ、そしてコマンドを入力しろ』早川書房(2018年)
“母がリビングで首を吊ったとき、僕は自室で宇宙艦隊を率いていた”
情報収集に熱心なゲーマーなら藤田祥平の名に覚えがあるはずだ。IGN Japanでの連載エッセイ『電遊綺譚』で人気を博した文筆家・藤田祥平による半自伝的小説。ゲームレビューやレポート記事ですら情緒豊かな藤田の文体で書かれた小説に、心を動かされないはずがない。ゲームや文学に耽溺し、救われてきた人にこそ読んでほしい。
石塚2祐子『犬マユゲでいこう』シリーズ 集英社
ゲームエッセイ漫画であることに間違いないが、「これゲームに関係あるの?」と言いたくなる描写が盛りだくさん。それが『犬マユ』だ。
「ドラクエ」のモンスターでどれが一番おいしそうか? 「ドラクエ4」のトルネコの店番でカンストまで荒稼ぎする、などメーカーが絶対に想定していないであろう楽しみ方でゲームを味わい尽くすのが『犬マユ』スタイル。ただし、いつの間にか発売されていつの間にか品切れになっているという、メタルスライムのような漫画なので気になった人は、今すぐ注文しよう。
伊集院光『ファミ通と僕 1998-2000』エンターブレイン(2013)
現在も『週刊ファミ通』にて連載中のエッセイ「伊集院光接近につきゲーム警報発令中」。
本書は連載が開始した1998年から2000までにかけての原稿がまとめられている。長寿連載だけあって今と昔で作風は大きく異なり、初期のものはこれでもかとばかりのギャグが詰め込まれているのが特徴だ。笑えるゲームエッセイで伊集院光の右に出る者はいない。